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使い勝手が良くなったエンジェル税制(2ページ目)

一定の未上場ベンチャー企業に対し投資を行った場合、投資段階と株式売却段階の両方で、税務上の特典が受けられる「エンジェル税制」があります。今回は、注目の「エンジェル税制」についてお送りします。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド


税法上の特典はなに?

では、投資時点と株式売却時点で適用することができる税制上の優遇措置についてみていきましょう。

1.投資時点
以下のAまたはBのいずれかの優遇措置(所得税のみ)を選択できます(優遇措置を受ける年の12/31において株式保有が要件)。ただし、Aの優遇措置は平成20年4月1日以降の投資が対象です。

■優遇措置A
(ベンチャー企業への投資額-5,000円)をその年の総所得金額から控除(総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低いほうを上限とする)できます。
具体例として総所得金額1,000万円、ベンチャー企業への投資額500万円の場合、(1,000万円×40%-5,000円=399.5万円)が総所得金額から控除できます。

■優遇措置B
ベンチャー企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除(控除対象となる投資額の上限なし)できます。

2.売却時点
こちらは所得税及び住民税の優遇措置となります。

■損失が発生した場合
ベンチャー企業株式を売却し損失が生じた場合には、その損失をその年の他の株式譲渡益と相殺することができ、更に翌年以降3年間繰越すことができます。

■利益が発生した場合
こちらは平成20年度税制改正において廃止されました。ただし、経過措置として平成12年4月1日から平成20年4月30日までに取得した株式については、売却時点で譲渡益の1/2圧縮の適用ができます。

なお、優遇措置Aを選択していた場合には、総所得金額から控除した金額分だけ取得価額を引き下げて計算することになります。そして優遇措置Bを選択していた場合には、株式譲渡益から控除した投資額分だけ取得価額を引き下げて計算します。

先程の具体例で売却額が50万円の場合で投資時に優遇措置を利用しなかったとき、(500万円-50万円=450万円)の損失がその売却年の他の株式譲渡益と相殺でき、相殺しきれなかった損失については翌年以降3年間繰越すことができます。一方、投資時に優遇措置Aを利用した場合には、(500万円-50万円-399.5万円=50.5万円)の損失を相殺することになります。

エンジェル税制は大きな優遇措置であるため、適用を受けるには所定の書類を確定申告時に添付しなければいけません。詳しくは経済産業省のホームページに記載されています。
http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/index.html


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