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事業承継成功のツボと相続時精算課税(2ページ目)

中小企業の経営者の平均年齢が上昇しており、事業承継が迫ってきている中小企業が増えてきています。今回は事業承継で押さえておくべき3つのツボと相続時精算課税を利用した具体策をお伝えします。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド


退職金と相続時精算課税の組み合わせ

例えば、同族会社において社長が退職する場合には、通常役員退職金が支払われます。このときその退職金が法人の経費に計上されますので、同族会社の株価は大きく下がる場合があります。退職する社長が満65歳以上で、後継者であるご子息が満20歳以上であれば、この相続時精算課税制度を使って、自社株の贈与ができます。

この方法の良いところは、自社株の株価を社長退職時の低い株価で固定できることにあります。そのまま社長が所有し続けていれば、社長の相続時には株価が大きく上がっている可能性もありますが、相続時精算課税制度で贈与しておけば、贈与時の時価で足し戻されるため、株価上昇のリスクを回避できます。この方法は、自社株の株価が高止まりしていたり、今後株価の上昇が予測される場合に有利な方法です。

通常、このやり方は退職する社長が満65歳以上でなければ適用できないのですが、実は満65歳未満でも使えるやり方があります。それは住宅取得資金の贈与と組み合わせる方法です。住宅取得資金の贈与は、贈与する親が満65歳未満でも使えるため、その同じ年に自社株の贈与を行うと、社長が満65歳未満であるにも関わらず、自社株を含めた全ての贈与に相続時精算課税制度が適用されるのです。

“争族”防止に使える相続時精算課税

相続時精算課税制度を使うメリットはもう1つあります。

それは、本人の生前に財産を贈与することで、事実上の遺産分割が相続の発生前にできるということです。相続発生後の遺産分割ではもめるケースが多いですが、生前に本人の意思で贈与をすることで、後々の“争族”を防止できるのです。

ただし、相続時精算課税はいったん選択してしまうと、以後その選択した親からの贈与については、暦年課税贈与(年間110万円までが無税)に戻すことができないため、適用に当たっては注意が必要です。

「事業承継ガイドライン20問20答」の活用

今後、事業承継を計画的に進めていこう、とお考えの社長におすすめなのが冒頭で紹介した「事業承継ガイドライン20問20答」です。これは平成17年10月に設立された事業承継協議会が今年の6月に発表した「事業承継ガイドライン」を問答形式にして、より分かりやすく解説したものです。フローチャートや事業承継計画表のサンプル、事業承継チェックリストなどもついており、非常に実用的な内容になっています。ぜひこれからの計画作成にあたって、参考にしてみて下さい。中小企業庁の下記アドレスからダウンロードできます。

中小企業庁:事業承継ガイドライン20問20答


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