節税対策/節税対策関連情報

ストックオプションによる利益は給与所得?(2ページ目)

ストックオプションで得た利益が「一時所得」か「給与所得」に当たるかが争われた訴訟で、最高裁は1月25日、課税当局側の主張を認めて「給与所得」に当たるとする初判断をしました。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

ストックオプションとは?

ここで、ストックオプションについて説明します。ストックオプション制度とは、会社が取締役や従業員に対して、予め定められた価額である「権利行使価額」で会社の株式を取得することのできる権利を付与し、取締役や従業員は将来、株価が上昇した時点で権利行使を行い会社の株式を取得し売却することにより、株価上昇分の利益が得られるという制度。

利益額が企業の業績向上による株価の上昇と直接的に連動することから、権利を付与された取締役や従業員の株価に対する意識は高まり、業績向上へのインセンティブとなりモチベーションアップにつながる場合もあります。

ストックオプション制度は、平成9年5月の改正商法において導入され、平成14年4月施行の改正商法において「新株予約権の無償発行」として新たに整備されました。

さかのぼって課税に批判

今回の最高裁判決を受けて、原告のアメリカアプライド・マテリアルズ社の日本法人元社長である八幡恵介氏は、記者会見で、「給与所得か一時所得かの判断には従うが、国税が方針変更前にさかのぼって課税した不当さは認めて欲しかった」と発言。「最高裁が行政を追認したことには承服できない」と不満の表情を浮かべました。

さらには、同じストックオプション課税をめぐる訴訟で上告中のアメリカインテル日本法人元会長の西岡郁夫氏も記者会見で、「(課税当局側が)指導が間違っていたと後から課税できるなら、納税者は将来の予測ができない」と指摘。

今後発生するストックオプションについて「給与所得」として申告するのは仕方が無いとしても、課税当局側が当初指導したとおりに「一時所得」で申告した分までさかのぼって課税するというのは、税の信頼をそこねるのではないかと思います。


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