内定者の希望を粉々にする、内定取り消し。
内定取り消しの連絡があっても、泣き寝入りせず、交渉することを念頭に置こう。 |
厚生労働省が調べた、大学生等の採用内定取消し件数は155社・632名(平成20年12月19日現在)。同年11月25日の数字が75社・302名。つまり1か月も経たないうちに、数字は倍増したことになる。
今回取材させていただいた、NPO労働相談センターへの問い合わせも急増している。昨年は全相談約4000件のうち内定取り消しに関する相談は2,3件だったのに、今年は10月から現在までだけですでに20件。この急増ぶりは尋常ではない。
原因はアメリカの金融危機に端を発した世界的な経済不況。前期に2兆2703億円の黒字だったトヨタでさえ、わずか1年で赤字転落となるニュースが、世界を凍りつかせた。そうなると当然、各企業は人件費の圧縮に着手し、中小企業はもちろん大手企業でさえも、非正規労働者の解雇や「派遣切り」が相次いでいる。正社員でさえもソニーやIBMが解雇をすることを発表した。そして、2009年4月から正社員となる、大学生の内定者の「内定取り消し」「内定切り」も多発することになったのだ。
苦労して内定を獲得した大学生の皆さんは、今頃は来年度働くことを希望を膨らませながら、卒論(学士論文・修士論文)の執筆に邁進しているだろう。にもかかわらず、こんな時期に「内定取り消します」なんて手紙がポストに入っていたら、パニックになってしまうだろう。
もし、内定者の皆さんの元に、もし内定取り消しの知らせが入ったときに、どうすればいいのか。今回の記事はその対処法を記す。なお、この記事は内定者のみならず、現在就職活動中の皆さんにも是非読んでほしい。「まだ内定なんて、先のことだよ」と思わず読んでほしい。なぜならば、内定をもらう時の諸注意も記しているからだ。
結論を先に述べる。
- 企業からの申し出を、その場で絶対に同意してはいけないこと。
- そして、必ず周囲の人や専用の窓口に相談すること。
- そして、交渉すること
この三点を必ず守るようにしてほしい。なぜならば、企業も必死に手を変え品を変え、法律を犯さないように内定取り消しを企図するからだ。そして同時に、交渉する余地も必ずあるからなのだ。
※次のページで、「内定取り消し」とは法律的に何か?その1を学ぶ!
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※今回の記事は、NPO労働相談センターの須田光照さんへの取材を基に書いている。須田さん、ありがとうございました。