平成5年に告示された福祉人材確保指針の改定案が、平成19年7月26日、社会保障審議会福祉部会で了承されました。この指針はどのような内容なのか、実効性はあるのかを見てみます。

◆INDEX◆
1P目>>【福祉人材確保指針とは何か】
2P目>>【介護職給与は国家公務員福祉職の給与を参考に】
3P目>>【この指針に実効性はあるのか】

福祉人材確保指針とは何か

福祉人材確保指針は、正式には「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」。人材不足の深刻さや離職率の高さなど「社会福祉事業の就業の動向」、潜在的有資格者の掘り起こしや他分野からの人材受け入れの促進など「人材確保の基本的考え方」、労働環境整備の推進やキャリアアップの仕組みなど「人材確保の方策」、そして「経営者、関係団体等並びに地方公共団体の役割と国民の役割」についてもまとめられています。

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前回指針が出されてから14年。今回の指針にはどのような内容が盛り込まれたのだろうか
介護保険や障害者自立支援制度が始まり、福祉・介護人材の重要度が増しているだけに、全体的に見て、介護保険が始まる7年前に告示された前回の指針に比べると、内容はかなり詳細にわたっています。また、国、経営者、地方公共団体など、具体的に挙げられた事項に中心的に取り組んで行くべき主体についても明記されています。では、内容を抜粋して見てみましょう。

■12年で12倍になった高齢者関連サービス従事者数
まずは就業の動向から。福祉・介護サービスの従事者は1993(平成5)年と比べると約4.6倍の約328万人。中でも高齢者関連サービス従事者は、平成5年に約17万人だったものが平成17年には約197万人と約12倍になったと書かれています。介護保険スタートで、介護労働市場は一変したと言えます。

また、介護保険サービスの従事者は約4割、特に訪問介護サービスでは約8割(いずれも平成17年データ)が非常勤職員。介護保険サービスは、年間の入職率が約28%、離職率は約20%(いずれも平成16年データ)とのこと。1年に5人に1人が辞めて、職員の約1/4が新しい職員に入れ替わっている計算になります。

平成5年の指針には「社会福祉施設は専任職員が約80%」「毎年専任職員の約10%が退職」と書かれています。データの母体が違うのでそのままの比較はできませんが、非常勤比率、離職率の違いに驚きます。これらが年々高くなってきているのは事実でしょう。

また、介護保険サービスに従事する介護職員の介護福祉士有資格率は、介護保険施設で約4割、居宅サービスでは約2割。平成17年までに介護福祉士の資格を取得している人は約47万人もいるのに、実際に福祉・介護サービスに従事しているのは約27万人にすぎず、「潜在的介護福祉士」が多数いることがわかっています。

■深刻な人材不足は目前
介護保険の要介護認定者数は、平成16年の約410万人から10年後の平成26年には約600~640万人にも達する見込み。平成16年に約100万人だった介護保険サービス従事者が、要介護認定者数の伸びに合わせて増えていくとすれば、平成26年には約150~160万人必要になるとのこと。離職率の高い状況の中、人材確保が急務であることが具体的な数値により示されました。

■外国人労働者受け入れは慎重に
次に人材確保のための視点として、「労働環境の整備の推進等」「キャリアアップの仕組みの構築」「福祉サービスの周知・理解」「潜在的有資格者等の参入の促進」「多様な人材の参入・参画の促進」の5つが挙げられています。そして、各視点にさらにいくつもの詳細な項目があり、それぞれに示された指針に基づき、「関係者が総力を挙げて」取り組む必要があるとしています。一方、外国人労働者の受け入れに関しては、労働市場への影響、定住化に伴う社会的コストの発生等の懸念から、慎重な対応を求めています。

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