■介護報酬等の設定
これもかなり踏み込んで書かれています。
「(前略)従事者の給与等の水準や事業収入の従事者の給与等への分配状況を含め、経営実態や従事者の労働実態を把握すること等を通じて、(中略)、適切な水準の介護報酬等を設定すること」(国、地方公共団体)

これは収益が上がり、大幅な黒字が出ると報酬を引き下げてきたから、事業収入が適切に介護職に分配されず、結果、介護職の処遇を悪化させることになったことへの反省でしょうか。

また、「キャリアと能力に見合う給与体系の構築等の観点から、介護福祉士や社会福祉士等の専門性の高い人材を配置した場合の介護報酬等による評価のあり方について検討を行うこと」(国、地方公共団体)

という一文もありました。
こうした指摘はたいへんすばらしいんですけどねぇ。

この指針に実効性はあるのか

このすばらしい指針ですが、はたして実効性はあるのでしょうか。

14年前に出された指針と今回の指針を比べてみると、14年前の指針の上にさらに付け加えた、あるいはさらに詳細に説明された内容が目立ちます。これはどういうことかというと、つまり前回の指針に示されたことは、この14年間では実現できていないということ。

何だか、気持ちが萎えますねぇ。

だからこそ、今回の指針には、誰に向けて書かれ、誰が達成しなければならないかを明確にするために、国、地方公共団体など取り組むべき主体まで書き入れてあるのでしょうけれど。

この指針改定案の諮問を受けた社会保障審議会福祉部会でも、指針に効力を持たせるべき、という声が相次いだそうです。この指針どおりにしなくても罰則があるわけではないので、特に経営者は厳しい経営状況の中、国家公務員並みの給与にしろといわれても、はい、そうですかと聞けるわけがありません。心ある経営者は、このような指針がなくても、できる範囲で職員に事業収入を分配していると思いますし。

また、介護報酬改定の際に、この指針がどの程度の影響力を発揮するのかも、まったくわかりません。介護報酬が改定されないと、給与はまず上がりませんから、何とか影響力を発揮してもらいたいものです。

この指針では、最後に、経営者や国、そして国民の役割についても書かれています。国民の役割には、「必要な福祉・介護サービスの量や質の水準と併せて、これを確保するために必要となる負担の水準も考えていくことが求められる」という一文がありました。

介護職の給与を本気で上げようと思ったら、介護報酬のアップは避けられません。介護保険サービス利用者からは、「とてもよくやってくれるのに給与が安くて気の毒」という声を聞くことがあります。国民一人一人がそういう気持ちを持ち、さらに踏み込んで、良い介護を受けるためにはそれに見合う負担が必要なのだ、という意識を持ってくれれば、介護報酬がある程度はアップできるのではないか、と思ったりしました。

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