マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

火災警報器の設置はお済ですか?

6月から火災警報器の設置が義務付けられました。マンションも例外ではなく、専有部分への設置義務です。区分所有者全員に関係する重要な改正事項ですので、しっかりと頭に入れておきましょう。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


火災警報器の設置はお済ですか?
消防法が改正され、今年6月1日から一般住宅にも自動火災警報器(火災報知器)を設置することが義務付けられました。多くの報道を見ると、一戸建てばかりが取り上げられていますが、対象はマンション(集合住宅)も含まれます。さらに言えば、(当然ながら)共用部分の話ではなく専有部分への設置義務で、区分所有者1人ひとりに関係する重要な改正事項です。そこで、該当する改正内容と、実際に火災警報器を設置する際の注意点をまとめてみました。

死者44名 歌舞伎町ビル火災の教訓


今回の法改正は28年ぶりだそうで、きっかけとなったのが約5年前、平成13年9月1日に東京・新宿の歌舞伎町で起こった雑居ビル火災とされています。死者44名という悲劇が現実のものとなった“あの”大惨事です。「避難器具の未設置」「消防設備の未点検」「避難場所の障害物」など、様々な不徹底要因が重なり、さらに、消防署による指摘を無視し続けたことが原因となり、まさに、起こるべくして起こった“人災”となってしまいました。現在、外観は白のシートで覆われ、当時の生々しさをうかがい知ることはできませんが、二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、消防法の改正内容には当該ビル火災の“教訓”が盛り込まれています。

居住用建築物に関する主な改正点は、以下のとおりです。


 <主な改正内容>

すべての住宅に自動火災警報器の設置が義務付けられる。床面積ならびに一戸建て、マンションの別は問わない。また、新築・中古の区分けもないが、新築住宅は平成18年6月1日以降に着工されるものとし、新築住宅以外の住宅については平成23年6月1日までの間で、各市町村が個別に条例で定めた日を適用開始日とする。


なお、東京都では火災予防条例の一部が改正され、ひと足早く平成17年10月1日から新築住宅には設置が義務化されています。一方、既存住宅には「経過措置」が取られており、平成22年4月1日から本格稼動(設置が義務化)となります。


 <住宅用火災警報器の設置等(抜粋)> (改正火災予防条例 第55条の5の4関係)

住宅の関係者は、規則で定める基準に従い、住宅において発生した火災を感知し警報を発する機械器具で規則で定めるもの(=住宅用火災警報器)を設置し、および、維持しなければならない。


改正前は改築(リフォーム)する際にも設置を義務付けることが明記されていましたが、改正後は「住宅の関係者」という表現に集約され、改築という言葉は削除されました。さらに「設置」だけではなく、取り付けた後に「維持(管理)」することが同時に明確化されました。設置“後”の機能保全(具体的には電池交換や定期点検など)まで責任範囲に含めたのです。

なお、すでに居室内に自動火災警報器が設置されている、あるいは、スプリンクラー設備や泡消火設備などが備わっているマンションでは、設置義務は適用除外(任意)となります。

 ※火災予防条例の新旧対照表は、こちらからご覧いただけます。(PDF形式)


<1都3県 既存住宅における火災警報器設置義務の適用開始日>
東京都東久留米市・稲城市平成22年4月1日からの予定(議会上程中)
東京消防庁管内(東久留米市・稲城市・離島以外)平成22年4月1日
埼玉県さいたま市平成21年6月1日
行田市平成23年6月1日
上記以外の市平成20年6月1日
千葉県千葉市・銚子市・市川市・船橋市・木更津市・成田市・神崎町・旭市・習志野市・流山市・浦安市・袖ヶ浦市・栄町・匝瑳市・横芝光町・東金市・九十九里町・大網白里町・山武市・芝山町・香取市・東庄町・多古町・佐倉市・八街市・酒々井町・印西市・白井市・印旛村・本埜村・勝浦市・大多喜町・御宿町・いすみ市平成20年6月1日
松戸市・野田市・柏市・市原市・八千代市・鎌ヶ谷市・君津市・富津市・四街道市・富里市・館山市・鴨川市・南房総市・鋸南町・茂原市・一宮町・睦沢町・長生村・白子町・長柄町・長南町平成20年6月2日
我孫子市平成19年10月2日
神奈川県全 域平成23年6月1日
 ※平成18年6月1日現在の内容です。

すべての居室部分が設置対象 東京都


続いて、設置場所についても見ていきましょう。消防法ではマンションの場合、「寝室」および「階段」(ただし、階段への設置はメゾネットタイプで2階に寝室がある場合のみ)と最低限の範囲に限っていますが、東京都では“すべての部屋”としています。一定時間、人が居続ける空間を対象としますので、トイレや浴室・納戸などは含まれませんが、キッチンやリビングも設置の対象となります。また、千葉市・市川市・浦安市・船橋市などでも条例で、寝室のほかにキッチンへの設置を義務化しています。

そして、設置する部位は原則として「天井」または「壁」となります。天井に設置する場合、あまり隅っこに取り付けては効果が半減するので壁から60cm以上離すなど、各地自体によって設置基準が定められています。

なお、設置義務に違反しても罰則はありません。しかし、日本では火災による死者のうち8割が住宅火災を原因とし、さらに、気の毒にも65歳以上の高齢者が被害者の半数を占めています。その上、「逃げ遅れ」によって人命を奪われている割合が全体の7割にのぼる現状を考えれば、1台数千円は決して高い金額(出費)ではないはずです。法改正につけ込んだ悪徳販売には注意が必要ですが、ホームセンターや家電量販店でも販売していますので、早めに取り付けることをおすすめします。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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