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今後はどうする? 外国人介護士受け入れ(3ページ目)

インドネシア人介護士が来日して2ヵ月。民間企業の調査によると、多くの施設は、今後も外国人介護士の受け入れに慎重な姿勢の様子。いつまでも曖昧な姿勢のままでいいのでしょうか。

執筆者:宮下 公美子

外国人介護士受け入れ希望は
「まだわからない」が半数以上

EPAという経済がらみの協定の枠組みの中でスタートした外国人介護士の受け入れ。そもそもこの枠組みでの受け入れがよかったのかどうか、疑問に感じていました。しかも「人材確保」ではなく「国際交流」という建前のもとの受け入れでありながら、施設、来日するインドネシア人に課された条件は、前記の通り、本当に交流したくて受け入れているのだろうかと思わせるような厳しい内容でした。

この調査では「EPAの受け入れの枠組みについては満足していますか」の問いに対して、「はい」(11.9%)、「いいえ」(19.7%)をはるかに上回る58.8%の施設が「まだわからない」と答えています。人材は確保したいが、これほどの条件をのんでまで受け入れるメリットはあるのか。施設はそんな思いではないかと思います。来日1期生の4年後を見なければ判断できないというのが本音でしょう。

そのため、同様に「インドネシアからの外国人介護士を受け入れたいとお考えですか」の問いへの回答も、「はい」(8.7%)、「いいえ」(27.2%)に比べ、「まだわからない」(64.2%)が多数を占めています。

いつまでも「わからない」と
様子見をしている場合ではない

この調査では、「在日の外国人のかたを介護職として雇用している、または雇用したことがありますか」という質問もありました。24.8%の施設が「はい」との回答。1/4近い施設が雇用経験があることに少し驚きました。

「はい」と答えた施設に対する「在日外国人受け入れに際して、何か特別な取り組みを実施しましたか」(複数回答)という問いには、「業務内容の限定」「日本語教育」「専属の教育担当の設置」が回答の上位に来ていますが、構成比はそれぞれ30.2%、10.4%、9.4%と高くありません。「不明・無回答」が33.0%あることから、特別な取り組みなしに受け入れている施設が多いのではないかと思いました(「特に何もしていない」という選択肢があるとわかりやすかったのですが)。

24.8%の施設が在日外国人のかたを雇用しているものの、全調査対象施設に尋ねた「在日外国人介護士を、今後雇用していきたいとお考えですか」という問いに、「はい」と答えたのは、24.8%を大きく下回り、わずか9.8%。「いいえ」(15.5%)、「どちらとも言えない」(54.6%)と、ここでも消極的な回答が大半を占めています。

現在雇用してはいるものの、今後の雇用にはためらいがある。
つまり、雇用するプラス面とマイナス面を考え合わせたとき、プラスが多いわけではないと感じている施設が15%程度あるということでしょう。

ではどのあたりがマイナス要素なのか。
「在日外国人介護士のよくない部分はどこですか」(複数回答)の問いへの回答は、「記録などで業務に支障がある」(65.2%)、「職員とのコミュニケーション」(57.6%)、「管理等でコストが高い」(28.8%)が上位3つ。「利用者様から評判が悪い」「ご家族から評判が悪い」(ともに10.6%)という回答もあります。ただし、これは雇用したことがある施設だけでなく、「今後雇用したいか」という問いに「いいえ」と答えたすべての施設への問いなので、実際に雇用してみてマイナスと感じたことが上位になっているとは言い切れませんが……。

記録やコミュニケーションの問題は、外国人を雇用する以上、当然のように起きてくることです。移民の少ない日本では、外国人に介護してもらうことへの抵抗感も小さくないでしょう。こうしたさまざまな課題があるから受け入れが困難、と言っていたら、いつまでも外国人介護士を受け入れる体制は作れません。しかしだからといって、個別の施設の自助努力で受け入れ体制を整えていこうとしても限界があります。

少子高齢化の日本の将来を考え、外国人介護士を受け入れるなら、来日してくれた外国人が働きやすい体制を、国を挙げて作って行かなくてはなりません。受け入れたくない、ということであれば、潜在介護福祉士を掘り起こし、他業界に転職した人を呼び戻すために、日本人に介護業界で働いてもらうための施策を早急に打ち出して行かなくてはなりません。

すでに介護人材不足で、サービス提供に支障が出始めています。早く決断し、有効な施策を打ち出さなくては介護保険制度の将来は黄信号から赤信号に変わってしまうと思います。介護業界の施設、事業所も、「まだわからない」と様子見を続けるのではなく、努力して外国人介護士を受け入れるのか、あるいは受け入れないのか、明確な意思表示が必要なのではないでしょうか。


■関連情報
「外国人介護士に関するアンケート」(株式会社ニッソーネット)

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