Sさんの自信と、現実の評価
しかし、冷静に評価すると、Sさんはおよそ無茶なことをいっていました。そもそもITコンサルティングに転職する際においても、Sさんはややハードルがありました。手がけたシステムが公共よりの仕事が多く、多くのITコンサルティング会社がメインターゲットとする製造業や金融業の経験がそれほどありません。しかも、ITコンサルティングの中心となる、管理会計・財務会計やSCMといった、業務に関する知識も、断片的にはあるものの、どれが強いというのは、なかったのです。かといってITの知識で勝負できるかというと、そこも微妙です。下手に上流ばかりやっていたため、ITの土台の知識でも専門家として勝負できるところにいたっていなかったのです。結局は、Sさんの強みはプロジェクトマネジメントがうまくできる、という部分のみでした。
これがSさんの現実でした。しかし、Sさんには、妙な自信とプライドがあったため、「ITコンサルなら、いつでもいける。だから別にITコンサルならば転職はしない」といっていたのを思い出します。
もうひとつ、Sさんの場合、専門性がやや低いため、ITコンサルに転職しても、今の給与より下がる可能性もありました。