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上昇?下げ止まり?金利の先行きを大胆予想(2ページ目)

金利の先行きが見えにくくなっている……誰もが同じことを感じているのではないでしょうか?確かに、様々な情報が交錯する中、一体何を信じればいいのか判断に迷います。そこで今回、独自の持論をまとめてみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

「ゆうちょ銀行」が住宅ローン市場の台風の目となる


本題である「金利の先行き予想」に関しては最後に述べるとして、次に、住宅ローン市場の今後にも触れておかなければなりません。というのも今年4月、住宅金融公庫が「住宅金融支援機構」へと生まれ変わったのは周知の通りですが、いよいよ同10月からは“ポスト公庫”とされる「ゆうちょ銀行」が誕生するからです。

報道によると、「ゆうちょ銀行は支援機構と提携し、2009年春から住宅ローンの取り扱いを始める計画。民間金融機関が扱う住宅ローンの代理・仲介業務についても、08年春の開始を目指す」(読売新聞4月14日)としています。これまで、郵便局では住宅ローンを扱っていなかったこともあり、郵政公社は住宅融資のノウハウを持っていません。そこで、まずは支援機構と提携してノウハウを吸収。フラット35などの取り扱いを開始することで、収益源の柱にしたい考えです。

「ユニバーサルサービス」という言葉が示すように、郵便局は全国くまなく店舗を構えています。その上、民営化(=株式会社化)とはいっても、株主は政府です。そのため事実上、ゆうちょ銀行の住宅ローンには目に見えない「政府保証」が付与されているに等しい安心感が備わります。さらに、200兆円もの郵便貯金を原資に独自の住宅ローンを始めることも十分に想定され、また、民間銀行からゆうちょ銀行がフラット35を直接買い取り、証券化事業へ本格参入することも予想の範疇(はんちゅう)です。ゆうちょ銀行が住宅ローン市場の“台風の目”になることは疑う余地がありません。

「金利を引き上げなければならない材料」は見当たらない


さて、「金融マーケットの変化」と「住宅ローン市場の今後」について注目点をお話しましたが、日本の金融環境を概観した場合、日本の経済成長率は諸外国とくらべてそれほど高くありません。「失われた10年」にようやく一定のメドを付け、いよいよ「V字回復」と行きたいところですが、現実は脱却できないデフレ経済、人口の減少や高齢化による労働生産力の停滞、さらには、世帯数が住宅ストック数を上回る“家余り”状態にあって、住宅流通が活性化される素地も乏しい中、金利を引き上げなければならない材料はほとんど見当たりません。

本来、金利を引き上げる意図は、過熱する経済を冷やす(=金融引き締め)ことにあります。ところが、完全に成熟した日本経済では、過度の金利引き上げは、かえって経済成長の腰を折ることになりかねません。

確かに、主要先進国と比較しても日本が低金利なのは事実です。これ以上、規制緩和できないほどの低水準なのは間違いありません。しかし、そのことと、今後、金利が上がることとは何の関連性もありません。つまり、これ以上、金利が下がることは考えにくくとも、かといって、上昇局面に突入するとは言い切れないのです。前ページで述べたように、目先では長期金利の上昇が目に付きます。しかし、許容できる範囲内だと考えられます。

さらに、住宅ローン市場の「サバイバル合戦」も、ローン金利の引き下げ圧力になっています。ゆうちょ銀行の新規参入は前段で触れた通りとして、その他、外資系金融機関やノンバンクの市場参入も活発になっています。市場参加者が増えれば“競争原理”の導入によって、住宅ローン金利の上昇余地を制限する要因になることは説明するまでもありません。ゆうちょ銀行が住宅ローンなどの新規貸出業務へ参入することに関して、全国銀行協会が「問題が大きい」と反対を表明していることが、何よりの証拠です。

このように、“一進一退”を続ける経済情勢、そして、住宅金融市場の“裏”事情をかんがみれば、どこを見ても「金利を引き上げなければならない材料」は見当たりません。以上より

『たとえ短期的には金利が上昇しても、上昇し続けることは極めて考えにくい』

これが、本題である「金利の先行き予想」の答えです。「答え」が「正解」かどうかは、時間が経過してみなければ検証のしようがありませんが、読者の皆さんは『金利上昇説』にマインドコントロールされず、色々な意見に耳を傾けることを忘れないようにしてください。

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