1ページ目 【「裁判員候補者」って何?】
2ページ目 【どういう場合に辞退できる?】
3ページ目 【裁判員選任手続の流れ】

裁判員になれない人たち

裁判員になれない事由
裁判員になれない4つの事由。問題は「辞退事由」。
つぎの3つにあたる人は「裁判員の欠格事由」にあたるとして、そもそも裁判員になることができません。つまり「義務教育が未修了」「禁固刑以上の刑罰に処せられた」「心身の故障のため職務が遂行できない」人たちです。

また、「就職禁止事由」として、国会議員や国務大臣、一般公務員、法曹や裁判所の職員、法学者や地方の首長などは裁判員になれないと裁判員法に規定されています。

絶対裁判員を辞退できる理由

裁判員法には辞退できる理由も規定されています。

まず、「70歳以上である」「地方議会の議員で、議会の会期中である」「学生または生徒である」人たちは、それだけを理由に辞退することができます。もちろん、辞退しなくてもかまいません。

また、「過去5年以内に裁判員・補充裁判員になった」「過去3年以内に選任予定裁判員だった」「過去1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続に呼び出された」「過去5年以内に検察審査員(補充員ふくむ)になった」人も、無条件で辞退できます。

また、「重い疾病または障害による出頭困難」「介護または養育の必要」「父母の葬式など社会生活上の重要な用務」の場合も、辞退できると規定されています。

さらに2008年制定された「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第十六条第八号に規定するやむを得ない事由を定める政令」によって「妊娠中または出産日から8週間経過していない」「配偶者(内縁関係含む)・直系の親族や兄弟姉妹の通院や入院などに付き添う必要」「妻(内縁関係含む)の出産への立ち会いや付き添いの必要」「住所または居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあるため出頭困難」なども、辞退理由として認められました。

単に「忙しいから」で辞退できるか?

問題は、その他の理由ですね。

裁判員法では「その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること」(16条)を、辞退理由として規定していますが、これはちょっとわかりにくい。

最高裁判所のホームページでも「個々のケースごとに,裁判所が,その用務の重要性,自ら行うことの必要性,著しい損害が生じる可能性等を考慮して,裁判員の仕事を行うことが困難であるかどうかを検討し,裁判員を辞退することを認めるかどうかを判断する」としか書かれておらず、正直、どこまでどうなのか、というところです。

もうちょっと最高裁のホームページを見てみると、「裁判員として従事する期間」「事業所の規模」「担当職務について代替性があるかどうか」「予定される業務の日時変更の可能性があるかどうか」「参加することによる事業への影響が直接的であるか」という要素で判断する、ということが書かれています。

実際、最高裁も今は試行錯誤といった状態のようです。事例集をデータベース化し、判断材料にしようということで、昨年に大掛かりな調査を行い、「成人式シーズンの美容師」「資格試験直前のフリーター」「インフルエンザ流行時の医師」「夏場の海水浴場近くのコンビニ店長」「種付け時期のカキ養殖業者」など、具体的な事例を「考慮する例」としてリストアップしています。

しかし、それでもまだ……ということで、今年の6月には福岡地裁が茶農家の実態調査を、奈良地裁が中小企業の訪問調査を行っている状態(読売新聞より)。当初の選任手続きにおいては、もしかしたらそうとう混乱するかもしれません。

ちなみに最高裁サイトの質問コーナーの回答では、「お忙しいとの事情はわかりますが,裁判員に選ばれた場合には,ご協力いただきますようよろしくお願いします」と書かれています。

会社が裁判員就任のために休ませてくれるか?

お願い
裁判員になったら、会社はきちんと休ませてくれるのだろうか?
もし辞退できなかったとして、あなたがサラリーマンなどの場合、会社はそのために休ませてくれるのでしょうか? これを気になさっている方は多いでしょう。

裁判員法では、裁判員に選任された労働者に対する不利益な扱いを禁止しています。そもそも公の職務なので、公民権行使の保障を規定した労働基準法第7条にも違反するとされています。

労働基準法第7条違反をして労働者に不利益な扱いをしたり裁判に出頭させなかった使用者には「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則が科せられます。ただ、裁判員制度のことを考えると、ちょっと軽い刑罰かもしれません。

さすがにこの期に及んで「休ませない」という企業は少ないだろう、とみられていますが、これも運用が始まってみないとわからないところです。また、正規雇用者は有休、公休制度が整っていますが、パートタイマーなどの非正規雇用者はどうなるのか。正規雇用者なみに働いているパート主任のひとが忙しい時期に休めるのか。科題はまだ山積と言えます。