1ページ目 【「裁判員候補者」って何?】
2ページ目 【どういう場合に辞退できる?】
3ページ目 【裁判員選任手続の流れ】

裁判員「不適格者」

裁判所
裁判所で行われる裁判員選任手続は非公開。
裁判員法では、裁判員としてふさわしくなく、裁判員になれない人も規定しています。「不適格事由」といいます。

挙げていくと被告人、被害者、被告人または被害者の親族・親族であった人、被告人または被害者の法定代理人(普通は父母)・後見監督人など、被告人または被害者の同居人または雇われている人、事件を告発した人……など、被告人や被害者に直接関係のある人(またはあった人)ということになります。

ただ、それ以外にも裁判所が「不公平な裁判ができない」と判断すれば、不適格事由とされ裁判員から除外されることもあります。

裁判員が決まるまで

この「裁判員選任手続」は裁判員候補者のほか、裁判官・裁判所書記官・検察官・弁護士が出席して行われます。事前に裁判長は「裁判員選任手続」の2日前までに、呼び出す裁判員候補者リストを検察官と弁護人に送付しなければなりません。

そして裁判員候補者のなかで辞退しなかったり辞退が認められなかった場合であっても、さらに検察官と弁護士が「この人はダメ」と指摘した場合、裁判員から除外されることになります。

裁判員法では、裁判員候補者に対する質問が規定されています。質問は裁判官・検察官・弁護士が行います。ここでウソを言ったり正当な理由なしに回答を拒否すると30万円以下の過料が科せられます。

このやりとりなかで「この候補者では公平な裁判ができない」と裁判官が判断した場合、その人は不選任となり、裁判員にはなれません。そのときには裁判官によって理由が示されなくてはなりません。

また検察官と弁護士、被告人にも不選任請求権があります。特に検察官と被告人には「理由を示さない不選任請求権」が与えられます。原則として4人(被告人が争わない裁判では3人)までこの不選任請求権を行使できます。これが行使された場合、裁判所は不選任請求された候補者を裁判員から除外しなければなりません。

それ以外の不選任請求については、裁判所がその理由を考慮して、不選任請求を受け入れるか却下するか判断します。それに対する異議申し立て手続もありますが、ここでは省略します。

こうして、6人(被告人が争わない場合は4人)の裁判員と、裁判員が途中で辞めなければならなかったり解任されたりした場合のための補充裁判員が決定します。もし、この手続を経ても裁判員候補者が6人以上いる場合は、やはり「くじ」で裁判員を決定します。

そして選任された裁判員・補充裁判員は宣誓を行い、これで選任手続は終了します。裁判員となって裁判所に行く場合もやはり、交通費や日当が支払われます。ただし日当は1日あたり1万円以内と増額されます(審理や評決時間によって異なります)。

裁判員制度ではどのような裁判になるのか?

裁判
裁判員制度の下で日本の裁判はよくなる?悪くなる? (写真(c)James Steidl - Fotolia.com
果たして、2009年の7月頃からはじまるといわれている裁判員制度の下での裁判は、どのようなものになるのでしょうか。

おさらいしておくと、裁判員制度の対象となるのは死刑または無期懲役にあたる凶悪事件や故意に人を死亡させた事件など、死亡者がいる場合がほとんどになります。

丸田隆・関西学院大学教授が書かれた『裁判員制度』という本では、実際の裁判シミュレーションが試みられています。そこで問題になるのが「殺意」。専門家のあいだでは、こうこうこうだったら殺意あり、ということになっているようですが、市民感覚として、それが正しいのか、疑問が生まれたりするでしょう。

そういう点をどうクリアしていくか、このあたりもまだ未知数です。

裁判員は裁判官と共同で評議し、判決を下すというのが裁判員制度です。アメリカの陪審制度とは大きく違う点です。プロの裁判官3人と、市民6人でどう市民感覚が反映されるか。評決は多数決ですが、裁判官3人+裁判員2人で可決されてしまう。裁判員の3分の2が反対しても、判決は決まってしまうというのも、どうなのでしょう。

さきほどの『裁判員制度』という本には、判決にはこなくていいからと裁判官に言われ、それでも裁判員だった人が傍聴席から判決に立ち会うというシーンが描かれています。つまり裁判に参加して人の人生を決めたにもかかわらず、「私は被告人にこう矯正してもらいたい」ということも言えない(かもしれない)。

いずれにせよ、このようなことにあなたが関わることになるかもしれない裁判員制度が、2009年5月21日に完全施行されます。