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自民党派閥の基礎知識2008(3ページ目)

小泉政権→安倍政権→福田政権と動いている間に、派閥の勢力図も大きく変わってきました。そこで2年ぶりに「派閥の基礎知識」を大きく改訂しました。派閥の意義と各派閥の現状、チェックしてください。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【派閥の役割と意義、現在の派閥の状況】
2ページ目 【自民党の派閥~町村派・津島派・古賀派】
3ページ目 【自民党の派閥~山崎派・伊吹派・麻生派・二階派・高村派】

山崎派~近未来政治研究会

山崎派・伊吹派の系譜
山崎派・伊吹派の系譜。

中曽根派から独立した山崎拓・元副総裁によって構成された派閥です。

小泉政権誕生とともに小泉元首相と山崎氏との個人的な距離の近さから主流派の1つとなり、勢力を拡大していきました。

会長は当然のように山崎氏で、「鉄の団結」を誇るといわれてきました。しかし近年、山崎氏と武部勤・元幹事長との関係がぎくしゃくしており、派閥の団結力も揺らいでいるといわれます。武部氏は派閥とは別に「新しい風」という政策研究グループを主宰しています。

勢力は41人(衆院38、参院3)。他の所属議員としては野田毅・元自治大臣(元保守党党首)、甘利明・経済産業大臣、平沢勝栄・元内閣府副大臣などがいます。また2007年暮れに石原伸晃・前政調会長が入会するなど、勢力は膨張傾向です。

基本的に右派的要素が強い派閥ですが、北朝鮮政策をめぐっては独自路線もとるところがあります。山崎氏の個人派閥的な色合いが濃いといえます。

伊吹派~志帥会

かつての中曽根派と、清和政策研究会から別れた人々で構成された派閥です。

小泉政権時代は江藤隆美・亀井静香といった人々が幹部・会長を務めたため「抵抗勢力」の中心的存在とされ、非主流派扱いでした。しかし亀井氏の自民党離党以後は、主流派となり時の政権を支え続けています。

会長は党幹事長でもある伊吹文明氏ですが、次代のリーダーと目されているのが会長代行の中川昭一・元農相です。

勢力は28人(衆院22、参院6)。郵政解散時に亀井氏や平沼赳夫・元経済産業大臣が離党し、さらに島村宜伸・元農相が2007年派閥を離脱するなど、勢力は縮小気味。右派的要素が強い派閥です。

麻生派~為公会

宏池会から別れた河野派が前身で、現在は麻生太郎・前幹事長が会長を務めています。

麻生氏のカリスマ性で小派閥ながら小泉・安倍両政権では大きな位置を占めていましたが、07年の総裁選で敗北してからは、福田政権に距離を置き、非主流派的な存在になっています。

勢力は20(衆院16、参院4)。小派閥ですが、無派閥議員や他派閥議員にも「隠れ麻生派」がいるとみられ、目が離せない存在です。

二階派~新しい波

二階派・高村派の系譜
二階派・高村派の系譜。

自民党と連立を組んでいた保守新党が2003年に自民党と合流し、このメンバーによって作られた派閥です。会長は二階俊博氏、最高顧問に海部俊樹・元首相。

小派閥ながら、二階氏が郵政民営化に貢献したこともあり、発言権は勢力以上にあるとみられています。また、町村派の中川秀直氏や山崎派の武部勤氏らとも近いとみられています。

勢力は16(衆院14、参院2)。政策的な方向性で一致しているわけではなさそうですが、小泉改革路線の継承を支持している人々が多いと思われます。

高村派(番町政策研究所)

三木派の流れをくむ派閥です。海部元首相の自民党離脱もあって長年会長不在の状態が続いていましたが、2001年に高村正彦・現外相が会長となりました。

勢力は15人(衆院14人、参院1人)。政策的にはリベラル~中道路線です。福田政権下では主流派となっています。

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◎関連インデックスからさらに知識を! 自民党の歴史

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▼こちらもご参照下さい。
大人のための教科書 政治の超基礎講座

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