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少子化問題を女性議員が語る!(前編)(2ページ目)

自民党から藤野真紀子・衆議院議員を、民主党から蓮舫・参議院議員をお招きし、さらに女性のガイドさんも交えてオールアバウト本社で少子化問題座談会を行いました。非常に濃い内容となった座談会の前編です。

執筆者:辻 雅之

意識を変えるには制度の変革が必要

蓮舫参議院議員
「意識を変えるには消極的に待っていてはダメ」民主党・蓮舫参議院議員
蓮舫さん:
「意識を変えよう」というのはずいぶん前からいわれていることです。だけど、変わってない。つまり、意識を変えるにはそれを消極的にまっていてはダメなんです。制度で強制的に動かすところは動かさないとダメなんです。

それはなにかというと、つまり、今仕事しなければ生きられない。自分の楽しみとして仕事もしたい。子どももほしい。そんなのぜいたくじゃないんですよ。結婚もしたい、それもぜいたくじゃない。

だけど今はどれかをあきらめないといけない、という意識が漫然とあること自体おかしくて、これはもう意識を変えようといっているときではなくて、すぐさま行動に動かなくてはならないことだと思います。

選択肢としては、仕事をあきらめたくない、結婚もあきらめたくない、でも離婚もするかもしれない、シングルマザーとして育てるかもしれない。シングルマザーはまだ国も自治体も手当てを差し上げてるけれども、一方で増えてきているシングルファーザー、父子家庭には手当ても全くありません。

全てが後手後手の政策を続けてきているから、意識なんて変わるわけないんです。今実際に子ども育ててて思うんですけど、何かをあきらめないと子どもが産めないという社会だったら、こんな切ない社会は私はないと思います。

で、あきらめるのは大抵女性です。(徹底して)男女平等というわけではないけれども、(男女が)シェアをする社会を作りたい。男性が我慢をして育児休業、出産休業をとってくれるような社会を。女性がとれるときはとった方がいい。ただ、問題は、育児休業の手当ては現役世代の給料の4割ですから。女性と男性の賃金格差がありますから、男性が休むと収入が減るんですよね。

M字型曲線
日本女性の年代別就業率をグラフにすると、図のように20代後半~30代に底ができ「M字型」を描く。総務省統計局の統計から作成。
女性が休んだ方が、まだ経済的には少し救われる。男性が休んだ方が痛手が大きい。ですからこの制度の整備をしていくときに究極的にたどりつくのは、私は「働き方」だと思います。

この「働き方」をどういうふうにするか。いろんな働き方を選べる時代になったらいいかもしれませんが、(今は)どんなに望んでもいったん出産してリタイアして、M字型曲線(右図参照)という労働力曲線という形になると、いったん舞台から降りてしまうと、パート・アルバイトしかないんですね。

どんなに大学出て、大学院いって、どんなに語学ができても、子どもを産んで3年、4年、5年、育児をして、さあ仕事に復帰しようとしたらなにがあるか。レジうちですよ。スーパー、コンビニ……。こんなことをするために私は子どもを産んだのか、それは母親にとっても子どもにとっても家族にとっても不幸なのが今の日本です。

だったら、正社員だろうと、非正社員だろうと、同一労働同一賃金。同じ働きかたしたら、同じ賃金にしましょう。そのかわり、いろんな働きかたができるようにしましょう。すでにモデルケースっていうのがイギリスにあります。

イギリスではワーク・ライフ・バランス、日本語でいうと仕事と生活の調和というんですか、いろんな働き方が用意されてて、もちろんSOHOもあるし、パートの働き方、バイトの働き方、正社員の働き方もある。

イギリスの「働き方」支援政策

蓮舫さん:そのなかで素敵だなと思うのは学期労働というのがあるんですね。1学期、2学期、3学期の。学校があるときって9時~4時くらいで働けるじゃないですか。でも夏休みとかは働けない。(そういう人のために)イギリスにはこの働き方があるんですよ。

こういうきめ細かな働き方をすることは、働き手にとっても幸せだし、企業にとっても、人材バンクを企業が持っているようなものですから、「この人たちは学期労働希望で、この人たちが夏休みなどのときはこの人たち、リストラした人たちをカバーしていこう」。しかも同一労働同一賃金ですから、正社員に異常な負荷をかける働き方を強要しなくていい。で、パートアルバイトの人でも能力がある人だったそれは当然上に上げていくことができる。企業にとってはマイナスってないんですよね。

これはブレアさんが首相になって定着をして、もともとイギリスは何のために少子化対策をやったかって、これは経済政策をやったんですよ。どうやったら効率性が上がるのか、人間として育児もしたい、介護もしたい、勉強もしたい、遊びたい。この答えにどうやって答えていくか。ここが、やはり働き方をかえるというところに行き着きますし、これは日本にとてもなじむと思います。

今やらなければならないのは、意識というご指摘がありましたけれども、意識なんてどうでもいいんです。変えちゃえば、男性がなんとかついてくるんですよ。専業主婦をしたい、あるいは仕事を楽しみたい。そういうことのために、制度を利用すべきだと思うんです。

お母さんが家庭に必要なとき、制度をどうするか

母と子
「男女共同参画社会」……しかし育児における母親の存在は、やはり大切。
ガイド:雇用の話になりましたけど、日本は景気回復で失業率は改善しています。内訳でいうと女性のほうがよい。しかしそれは恵まれているのかというとそうではなくて、女性の雇用は不安定な非正規雇用、今お話に出たようなレジ打ちなんかというパート、アルバイトというのが非常に多い。

男性の正社員だと雇いにくいということで。こういうのをなんとかするには確かに意識だけじゃなくて制度的なものもありますね。……女性を非正規雇用にして安い賃金で雇うというのは今の日本では悲しいかな経済性があるんですよ。

藤野さん:M字型曲線を、男女共同参画時代だから、赤ちゃんができても働ける、というふうに欧米のように台形にしていかなくてはいけない。これについては社会制度がきっちりしなければ、やみくもに台形にすることだけを追い求めても、結局子どもたちのことを考えますと、最終的に子どもっていうのはお母さんがいればいいということではないのですが、子どもってふたり、3人となっていきますと、その子によってお母さんにいてほしい子と、平気な子といろいろいるんです。

だからそのときにものすごく見きわめをしないと、子どもの力って産むだけじゃなくて、結局精神的に弱い子が数いたってしょうがないんですよね。

そのしっかりと育っていくっていう、時としてお母さんが家庭に必要なときもあるということ。そのあたりがすごい難しいなあと思っていて、意識の改革といっても意識なんて変わってないじゃないかっていう蓮舫先生のご指摘ですけど、すごいこれは私も規制をすることも一つ必要だと思います。

(次ページ、さらに男女の役割分担、そして少子家に対する日本政治の現状ついて)
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