社会ニュース/よくわかる政治

少子化問題を女性議員が語る!(前編)(3ページ目)

自民党から藤野真紀子・衆議院議員を、民主党から蓮舫・参議院議員をお招きし、さらに女性のガイドさんも交えてオールアバウト本社で少子化問題座談会を行いました。非常に濃い内容となった座談会の前編です。

執筆者:辻 雅之

男女の仕事分担をフェアにするために

藤野真紀子衆議院議員
「難しいが、やはりスピーディーな改革を」自民党・藤野真紀子衆議院議員
藤野さん:私、はじめて役所の人たちと話をするようになって、「遅いわよ、ほんとに」というか(笑)、いつも守りっていうか、なんか変えることに対して守りの姿勢というか、何で?っていうときに「これは現状こうなってます」っていうんだけで。

あと、女性の国会議員をもっと送り込んだらいいんじゃないかというのは、やっぱり中に男性のご意見というのがすごく根強くあって、与党の中で、皇室典範の改正なんかで側室制度の復活だっていう方もいらっしゃいますし。

女性がもっとこういう場にまずいるということによってもっと発信するものも変わるし、女性の意識も変わってくるだろうし、それに教育があると思うんですよ。

私、男女共同参画というなかで、夫がもっとシェアしてというのを思います。夫が団塊の世代でしょ。なんにもしなくて当たり前なんです。一緒にいると、私もジェンダーフリーができてないんです。女なのに。なんとなく洗濯してお皿洗って、同じ仕事があり同じ時間に出かけるにも関わらず、夫はずっとテレビ見てられて。

これはなにかっていうと、やっぱり小さい頃から男はこう、女はこうよっていう、台所くらいできないでどうするの、みっともないとか、母とか父からさんざんいわれて。主人なんかも男がなくのはみっともないとかそういう言われ方をして。

……こういう教育をされてきてるって言うのが、私は教育ってところに人としての構築をということを。時間はかかるんだけれども、やらないよりまし、って思います。

実は私、男女共同参画と言うことでわんわん騒いでいるにも関わらず、えっと思ったのが、自分がジェンダーの中で縛られていたこと。夫がいるとやらせちゃいけないんだと思っちゃう、そこが自分でもびっくりしたところで。

私が赤ちゃんを産んだときにも、母がいたので、大家族でしたから、夫は何もしなかったんです。今も私たちの娘を見てますとお父さんがお風呂入れておしめも代えて、ほんとに一緒にやってるんでね、それは子どもにとっていいことだと逆に思います。だからそういったことを広めていくって言うのはすごく大切なことだと思います。

やはり子どもの時からフェアな仕事の分担をするために、何をするのかということを、教育としてしっかりやってって、かつ現状を規制なりなんなりスピィーディーに。スピーディーというのは難しいですね。もっとも早く変わっていったらと思います。

少子化対策は「政治主導」で

少子化と予算
現状では、少子化を止めるための弾力的な予算が組めていないのが実情
ガイド:官僚が、というお話もでてきましたが、官僚主導でうまくいっていないようなところもあるようなこともいわれます。

蓮舫さん:官僚を叩くのは簡単です。だけど、考え方を変えるべきだと思うんですよ。あの世界に誇る脳を持った官僚集団。これを使うのは政治なんですよ。なんで官僚依存できたか、それは政治がなかったからです。戦争に負けて、官僚制度だけ残って、政治的指導力が欠けたままで。

いま藤野先生が「遅い」とおっしゃった。これはシステムの問題です。日本のシステムでは2月3月、衆議院の予算委員会で1年の国家予算が決まってしまうんです。日本の1年間のお財布、これがフィックスで決まっちゃったら、どんなにその間に選挙があって新しい人が入っても、新しい政策を立案しようとも、予算がついてないんですよ。予算がついてない政策で官僚が動けるか、動けるわけない。

各省庁予算も決まっちゃてるんですよ。厚生労働省で20兆円とか。20兆円の中で働き方変えようといって2兆円、これをどこからもってくるんですかというと、厚生労働省の児童局(の予算)からもってきますか、虐待対策からもってきますか、あるいはそれ以外の母子手当て、そこらへんからもってきますか……できないですよ、そんなこと。

だから政策っていうのは「動けない」システムになってるんです。だから政治は変わらなければいけない。この制度を変えましょうと。特に少子化対策でいいますと、5年単位で目標数値を作ってるんです。ここがおかしい。8兆かけて10年間、少子化対策、与党はやってきたというけれども、5年の中で、5年前に想定していなかった、しえなかった事態って絶対出てくるんです。

たとえば紀子さまが男児ご出産となればおめでたい、私も産みたいって人がでてくるかもしれない。でも5年前に作られた目標値にはそんな紀子さまが産むかもしれないって入ってない。つまり、この制度を単年度にしていかなくてはいけない。5年後の数値目標なんて立てても意味ないですよ。単年度で予算をどういうふうにするか。予算の中で不特定の事態が起きる可能性を想定して、プールできるシステムをどうやって作っていくのか。

これが政治です。これが政治が動いて、役人を使っていく。この制度が問題なんです。だから官僚が遅いとか、現場を知らないとか、そういうことをいって叩くのは簡単だけど、そこから政治は何も生み出せない。政治家が動かなくてはいけない。これは私はずっと言わせて頂いていることです。

藤野さん:私は主人がずっと役所だったんですよね。それでまさに官僚を叩くという意味でやっぱり使い方っていいますか、叩くばかりでもしょうがないと、もっといいところを使っていくうまさがすごい大切で。

国民の税金でなんだかんだといわれ、ちょっと不祥事が起こるとそこだけ引っ張ちゃうんですよね。ほんとに頭脳使って働いている役人っていっぱいいるわけで、その頭を使わずして。頭は最高の頭を持っている。ただそこに人間性とかいろいろ入ってくるんですよね。頭だけよければいいっていうんじゃないと。ただ、すぐれたよりすぐりをどうやって使うかと。

単年度って話が出たんですけど、なんで一年ごとの予算にしないのと、聞いたことがあるんです。(年度末になると)道路工事が始まるわけですよ、予算の調整のために。予算を立てちゃったからですけど、残ったらなんでプールしないの、っていうことを言ったんですね。

結局プールしたら余っちゃうでしょ、余っちゃったら翌年の予算は下げられてしまうから使い切っちゃうと。じゃあプールをしておいて、それができないんだったら余っちゃったということは、それだけユニセフになんとかするだとか、あるいはどこかに積立をしておいて、なんか残ったときに災害時になんか使うだとか。道路工事であちこり掘り起こしてとった予算を使わなくちゃいけないのとか、(そのお金で)飲み食いしてるかどうかとかまでは知りませんけど、とにかく出張したりなんかして使っている。

単年度と言うのは、主人が言ったのはそれがずっと長く続いたときに、それが何の予算だったかわからなくなってしまう、単年度には単年度の難しさがあるんだ、と私は言われたんですけど。予算の使い方の不思議さってのは……。

(次ページ、お話は「子育て論」へ)
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます