(2006.11.09)

進む少子化、歯止めをかけることはできるのか、それについての政治の役割とは……? 今回、衆議院議員・藤野真紀子さん(自民党)、参議院議員・蓮舫さん(民主党)のお二方をお招きし、少子化問題の座談会を行いました。

ガイドの私的結論から先にいうと、少子化問題とは実にいろいろな問題の複合なんだな、ということです。短絡的に考えず、社会全体の大きな問題として取り組むことの重要性を痛感した座談会となりました。

2週に分けて掲載していきます。まずは前半部分、ごらんください。

右肩上がりに転じたイギリスの少子化、緊急予算を組んだ韓国

出生率国際推移
日本を含めた先進国の出生率推移。国立社会保障・人口問題研究所の統計から作成。
ガイド:さて、まずは日本の少子化問題の「本当の問題」についてお話して頂こうと思います。他の先進国でも少子化の進行は進んでいます。そんな諸国と比べて、日本は何が問題なのでしょうか。

蓮舫さん:先進国の少子化は潮流となってきている。唯一アメリカのように多民族、ヒスパニック系の方たちが多いところは(合計特殊出生率)2%を維持してます。ヨーロッパでは、イギリス、フランス、ここのようにもう20年以上前から少子化対策を政治が率先して行っている国はわずかではありますが(出生率が)右肩上がりに転じています。

アジアはどうかというと、日本、韓国、シンガポール、一人っ子政策の中国、台湾はのきなみ(出生率が)1に近づいています。そのなかで日本は比較的いいほうです。まだ(出生率)1.25を維持している。

韓国はこの少子化問題を経済問題として緊急的に4兆円の国家予算を組みました。加えて日本というのは少子化対策にあまり本気になっていない。国の予算は80兆円あるんですけど、少子化対策費はわずかに1兆円です。

1兆円でなにができるか。例えばいま、妊娠・検診・出産をするのに全国平均だいたい55万円。この秋から厚生労働省は出産一時金として35万円、30万円だったものを35万円差し上げますと。しかし費用が55万円、東京ですと物価が高いのでもうちょっとかかるので、「出産赤字」ということになるんですね。

じゃ、この出産検診費用を全部国が面倒見る「バースフリー(出産無料化)」、少子化対策に全くなりませんけど、一つの要因としては意味があると思ってます。バースフリーをやると、国庫予算で6千億円かかる。たかだか出産無料化をやっただけで6千億円かかるのに、それ以外の働きかた支援、子育て支援、保育園支援、幼稚園の教育、あるいはバリアフリー、地下鉄とかのエレベーター化、これあわせて1兆円しかないのが現状です。進むべくして進んだのが日本の少子化です。

フランスでは子どもは「国の財産」

藤野さん:私は女性の社会進出というのがひとつ大きく社会をいろんな意味で、いい悪いを別として変えてきていると思います。

私たちの時代は蓮舫先生とはちょっと昔のものですから、専業主婦が多い時代だったんですね。それでそのなかで、子供達と家族の絆、ちょうど団塊の世代ですから、出生率は4%と多かったんですけど、だいたい子どもが2人という時代だったんですよね。何LDKのところに住んで子どもが2人、家族は4人。

そういうところで、(女性が)社会進出をしていく一方で、どんどん社会進出をしていくとどうしても赤ちゃんを産んだときに、よくM字型(曲線)っていいますよね、赤ちゃんを産むと仕事を辞めなくてはいけない、あるいは一時休まなくてはいけない。というようなところ、あるいは続けるとしたら保育所がもっとちゃんとできてないといけない。そういう面が日本ではまだまだ遅れていると思うんですね。

そこがうまく並行していっていないので、整備がちゃんとできていれば安心して仕事して生めるんだけれども、そこがまだ諸外国より遅れている。だから出生率は落ち込んでいる。

それから私は2人娘がおりまして、ひとりは働きながら3人子どもを育てている。ひとりは専業主婦でこんど3人目なんですね。で、やっぱり彼女たちがいろんな人生経験をしました。今は女性がすごくいろいろな人生経験をする時代に入っていると思います。むかしみたいに結婚しなきゃなんとか、っていうんじゃなくて、籍は入れているんだけどバラバラに住むんだとか、一緒に住んだんだけど籍は入れてないとか、いろんな人生多様化の時代に入ってきている。

その中で、にもかかわらず、日本はまだシングルマザーに対してすごく冷たい、というのがあります。個人的に、娘がシングルマザーの時期がありまして、すごく苦しんでいたんですね。そこで子どもを差別してはいけないんじゃないかと(思って)。よくお母さんのことを男性はおっしゃるけれども、最終的に苦しむのは子どもなんで、シングルマザーでなければ、長男・長女という戸籍の中でいわれているけれども、シングルマザーの場合は男・女ということになってしまう。

だからどんな人生であろうと、人にたいしての差別というのはしちゃいけないんだと。日本はもしかしたらそういうちょっと古い体質なんじゃないかと。そういうふうに(差別をなくして)してしまうと、そういう社会を奨励しているかのような、社会が乱れてしまうんじゃないかとか、そういうふうにおっしゃる人もいるんですけど、離婚も、シングルマザーも、この十年間、数からいえば確実に増えてきているという現実があります。そのなかで、やはり社会がもう少し頑張ってついていなかいと、子どもさんを産めない、婚外子、結婚していない(カップルの)子どもさんというのは非常に差別を受けている中で、産み控えられている。

フランスは、2人に1人が離婚をするそうです。それがいいということではないんですが、結婚している、していないということに関わらず、子どもを産みやすいという社会に、ということを。

(フランスには)日本よりはかなり決めの細かい保育施設があるにもかかわらず、やはりまだまだ、というところがある。ましてや日本は、というところがありますね。ですから核家族化して、おじいちゃん、おばあちゃんが面倒見てもらう、というようなものがいま崩れている中で、かつ保育施設、いま(蓮舫さんが)おっしゃったように国の予算、非常に少ないと思います。

フランスは国の財産は子ども、という見方をしています。人の力というものを財産だと認めている。あと、日本人は島国なんで、日本人の「種」というものをすごいこだわるんだけれど、フランスでは入ってきたところでフランスの国籍を身につけて入ってくる。どんな皮膚の色であろうと。そして子どもたちというものは全部国力につながる。そういった政策をしているんですよね。

だから日本はもうちょっとグローバルに目を開いたらどうか。子どもをあの人のもの、みたいなことではなく、本当に日本の力になるんだと。あの人の子どもとかこの人の子どもというものではなくて、全ての人たちを子どもとして育てようという、そんな意識が日本の中にでてくると。

ガイド:お二人のお話を聞いて感じたのですが、少子化問題というのは社会的、地域的、人間性的なところだというのが、日本では欠けているのでしょうか? 意識の問題として。(次ページへ