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中東の騒乱で石油が暴騰?!(2ページ目)

7月に始まったイスラエルとヒズボラの戦闘によって、世界の石油価格がさらに上がっています。この紛争の原因は何なのでしょうか?

執筆者:鳥羽 賢

どれだけ続く?この殺戮(さつりく)

シリア
写真はシリア。シリアが本格的に参戦したら大変なことになる。
今回の紛争は一体いつまで続くのでしょうか?前ページでお話したように、最初イスラエルは簡単にヒズボラを潰せると思っていたのです。しかし、ヒズボラは地下に隠れていたりするので、空爆をしても大きなダメージが与えられません。だから戦闘はどんどん長引いています。それにイスラエルの空爆による民間人の犠牲者がどんどん増えているので、イスラエルに対する風当たりが日増しに強くなっています。

下手をすると何年も続いてしまいそうな今回の紛争ですが、終わるかどうかはイスラエルとヒズボラの両者が停戦に応じるかどうかにかかってきています。現在のところ停戦の見通しはたっていませんが、しかしこれからの努力次第では停戦も不可能ではないでしょう。そのためには、国際社会が双方が納得できるような停戦案を提示することが必要となります。

現在のところ、ヒズボラを支援しているシリアやイランといった国は、武器を供与する程度しかしていません。しかしこれらの国が全面的にイスラエルと交戦するようになると、第五次中東戦争にも発展してしまいます。そうなったら大変ですので、国際社会はそれを全力を持って阻止するでしょう。

日本への影響は?

この紛争は遠く中東の地で起こっているので、日本まで直接戦火が拡大することはありえません。ただ、いろいろな意味で影響を受けることになります。最大の影響は、中東で戦争が長引くと、石油事情がさらに悪化することです。

7月の開戦以来石油価格は上がっています。日本でもガソリン価格がかなり上がり、レギュラーが140円になったケースがかなり多いのはみなさんご存知でしょう。中東での紛争が長引けば長引くほど、石油の価格は上がっていく可能性が高いのです。また現在は、イランの核開発問題も同時進行しています。イランもイスラエルの周辺国も石油の大きな原産地なので、世界の石油事情にとってはダブルパンチにもなります。

それと同時に、日本にとっては北朝鮮という身近な問題があることを忘れてはいけません。6月は中東問題が深刻化していなかったので、アメリカも北朝鮮問題に時間を割けました。しかし7月に入って中東の紛争が表面化すると、北朝鮮どころではなくなってきています。そうなると、北朝鮮にとっては好都合になります。

どういう形になっても、日本にとってこの紛争はメリットは何もありません。日本としては、できる限り早い時期に停戦にもっていけるように、外交努力を続けていくことが最善でしょう。


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