
普段使用している10円玉にオークションで驚くべき価格が付きました。2026年6月7日に終了した第128回入札誌「銀座」で、なんと58万円(手数料込みで67万5700円)で落札されたのです。額面金額に対してテンバガーどころか、“6万バガー”ともいえる、聞いたこともないほどの高額落札となったわけですが、一体何が理由なのでしょうか。ポイントは、年号と状態の良さにあります。
昭和61年の10円玉には前期と後期の2タイプがある

今回オークションで落札されたのは昭和61年の10円玉です。コイン鑑定機関であるPCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)により「MS66RD」の評価を得ています。コインの鑑定では一般的に70段階で評価され、65以上が完全未使用レベルとなります。今回の10円玉は66評価で、かつ“RD”となっています。
RD評価とは、もともとの銅の赤い光沢色がコイン全体の95%以上を占めている場合につけられます。通常、10円玉は使用するほど光沢色は薄れ、茶色っぽくなっていきますが、未使用かつ保存状態が良ければ光沢色を保ち続けます。今回落札された逸品は、完全未使用評価で、かつRD評価のため、ほぼ出来立ての時と変わらないほどの状態を保っている、完璧に近い状態といってよいでしょう。これが高評価につながったわけです。
とはいえ、これだけではここまでの高額落札にはなりません。最も重要なポイントは、昭和61年の「後期タイプ」であること。昭和61年後期の10円玉は、収集家用に特殊加工された昭和62年の10円玉と同じデザインとなっています。つまり、通常の10円玉とデザインが微妙に異なっているのです。
完全未使用かつRD評価であり、昭和61年後期タイプであることという、この2点が高額落札のポイントといえるのです。
価格は上昇傾向にある
実は以前のオークションでも、同評価の昭和61年後期の10円玉が落札されたことがあります。例えば、第33回銀座コインオークションで落札されたときは33万円(手数料込みで36万3000円)でした。それと比べると今回の10円玉はほぼ倍に近いといってもいいほどの価格上昇となっています。
PCGSでは昭和61年の10円玉について前期・後期の区別がされていないため、後期でグレードの高いものがどれくらいあるのかははっきり分からないものの、同じ昭和61年の10円玉でRDの最高評価は67となっています。2026年6月時点で67評価は12枚。仮にその12枚に後期タイプのものがあれば、価格は66RDの倍になるのではないかと思われます。つまり、100万円超えが期待できます。
おそらく今後も昭和61年後期のものでグレードの高いものはほとんど出てこないと思われます。そのため、価格上昇も納得のいくものではあります。こうした高評価のものは、ロールといわれる50枚束で当時発行されたものが残っていれば今後も出現する可能性はあるものの、なかなかないといってよいでしょう。価格は上がる一方といえるかもしれません。
グレードが1つ異なるだけで価格は大きく異なるのがコインの世界です。もしかしたらこうしたレアな現代コインはオークションなどで今のうちに入手しておいたほうがいいかもしれませんね。
<参考>
第128回入札誌「銀座」 Lot番号:462 10円青銅貨 昭和61年 後期 PCGS(MS66RD) | UNC+







