2.ターゲット心理
桑畑「団塊ジュニアの男性層の実態を相当緻密に研究されたそうですね。」
岸さん
「はい。創刊までに公式で100人近い方にグループインタビューを行い、非公式のデプスインタビューも含めると300人近い方々にご協力をいただきました。」
桑畑
「そこから浮かび上がった実態とはどのようなものでしたか?」
岸さん
「意外にも自分で判断できる材料を持つ機会に恵まれていないということでしょうか。」
桑畑
「とおっしゃいますと…」
岸さん
「例えば年金問題についてどう思うか?ということについて、自分なりの見解を持つ上での情報が充足されていないですとか、モノ・サービス・コンテンツの消費を行う上で自分なりのこだわりに昇華できるほどの情報までは十分に持ち合わせていない。といったことを感じたのです。」
25~30代前半の団塊ジュニア層の男性。おそらく会社では最も実労働時間が長い層で、平日は疲れて家に帰るだけで精一杯ということもあるのでしょう。バブル世代とは違い、両親世代がリストラの憂き目に会うことも少なくなく、自らの就職は「超氷河期」を経験。
そういった意味では時代背景の異なる他世代からみると「若いのだし、もっと元気があってもよいのでは??」というように映るのかもしれません。
しかし一方では、10代でポケベルの先陣をきり、20歳にはすでに携帯電話を持ち、携帯メールを日常化し、新たな生活文化を等身大で発信してきた世代です。そこには他世代にはないコミュニケーションセンスや好奇心が存在することも確かです。
もっとやれるのに、情報が充足されない環境が、その潜在力を妨げてはいないか?
岸さんや田端さんのお話から、そのような問題意識を感じました。
であるとすれば、その問題意識はどうコンテンツに活かされたのでしょうか?次ページで。