これまで、私がとりあげてきたヒット商品は、4,140万円の時計やフォーシーズンズ丸の内といったハイグレード系のものが中心であった。
今回は高いとはいえども「数百円」で手に入る商材について取り上げる。もちろん理由がある。
その理由をお話する前に、まずLUXのヒットの秘密について整理しておきたい。
● ヒットの秘密
1.独自の機能で究極のゴールを実感させる
超微粒子のミクロ・リペアリミッド(毛髪補修・保湿成分)が髪の奥深くにすばやく浸透してダメージを補修、その上しっかり保湿します。
内側までケアされた髪ならダメージのすすんだ毛先でも、思いどおりのシルクのまとまり。
例えば、LUXスーパーリッチは、こう唄っている。
独自の機能は「ミクロ・リペアリミッド」、究極のゴールは「思いどおりのシルクのまとまり」
このアプローチは、ユニリーバ(国内では日本リーバ)やP&Gでは、ずっとお約束となっている。
顧客が真に求める目的を理解し、それを満たす役割を実感させる。
いつもこの点は、カテゴリーを問わずマーケティングの基本だ。
花王ビオレは、素肌と同じ弱酸性という機能で、すべすべの健康肌を実感させる。
ポカリスエットは、体液と同じイオンという機能で、みずみずしい水分補給を実感させる。
このように基本をおさえた商品は、ちゃんとロングセラーになっている。
2.コミュニケーションの記号化
LUXのコマーシャルは、よぉ~く練られた記号化が図られている。
・格調高い雰囲気
・ハリウッド女優
・イメージで成分が映し出される
・成分が効果を発揮し、顧客の理想とする髪が現れる。
・そしてとどめは「LUX!」
(ハリウッド女優の声が実質的なサウンドロゴとして上手く機能している)
LUXを顧客が手に取る時、少なくとも他のシャンプーを手に取るよりは、LUXの世界に入り込むプラスの感情が湧き上がり、多少高くてもLUXを選ぶ。
しかもそういったコミュニケーションを、1989年のブルックシールズ出演のCM以来、15年近く継続している。
顧客にもすっかりLUXの世界を創り上げた。
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