どこでも同じコンピュータ環境
既にホットスポットサービス(公衆無線LANサービス)によるインターネットへの接続や、携帯電話やカーナビなどにより、情報へのアクセスはいつでもどこでも得られる環境が整備されてきている。ユビキタス環境とは何が違うのだろうか。人がどこに移動しても、同じコンピュータの環境が利用できるのがユビキタス・コンピューティングの概念なのである。いつでもどこでもといった遍在性が強い概念といえる。
究極のユビキタス・コンピューティングとは、コンピュータの存在を意識させることなく、ネットワークに蓄積された個人情報などを参照しながら、多くのコンピュータと連携し、必ずしもパソコンや携帯電話やPDAの携帯を必要としない。衣服と一体化したウェアラブルコンピュータなどは、この概念を推進する形といえる。
ICタグで広がるユビキタス
ICタグもこの概念をサポートするものだ。バーコードよりも多くの情報を記録でき非接触により識別データなどを読み書きできる。食品パッケージや衣類のタグなどにICチップを埋め込むことが進んでいる。食品パッケージから生産者名や消費期限が読めるのである。通信機能を内蔵した冷蔵庫により、何がどれだけ入っているかを外出先から知ることができるのだ。このような応用を推進するためにICチップの小型化とコストダウンが進められており、またデータフォーマットやアクセス技術の標準化も検討されている。
マーク・ワイザー博士によると、メインフレームのピークは1980年ごろ、パーソナル・コンピュータのピークは2000年ごろになっており、ユビキタスの産業化は2005年から2010年あたりと予想される。総務省は、2010年における市場規模を日本の国家予算の10倍にあたる800兆円と試算している。
そして次ページのような商品が生まれている。