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銅鍋OKの電磁調理器の秘密(2ページ目)

松下電器は世界で始めて、従来使えなかった多層鍋、銅鍋、アルミ鍋が使えるようになった、IHクッキングヒーターを商品化した。うず電流に対する技術的挑戦がそこにはあった。

執筆者:木村 勝己

非磁性体への課題

プレートの下に置かれた加熱コイルから発生する高周波の磁力線は、上に置かれた鍋にうず電流を生じさせる。高周波電流は鍋の表面に集中して流れる為、鍋は大きな抵抗を示し、その表面で発生するジュール熱により鍋自体が発熱する。

鉄鍋は磁性体のため電流が表面へ集中して流れ、電気抵抗も大きいため発熱しやすい。これに対してアルミや銅といった金属は非磁性体のため、電流が表面に集中しにくく、電気抵抗が小さいため十分な発熱量が得られなかった。

新技術による解決

この問題を松下電器は、加熱コイル電流の周波数アップと加熱コイルからの磁束増加により解決した。

従来の技術で周波数アップや磁束増加を図ると非実用的な大きさになってしまうが、3倍共振インバーターの開発や、微細線集合撚りコイルの新技術により、構成ユニットの大幅な小形・低損失化を実現した。

磁性体の鍋と非磁性体の鍋を両立させるには、鍋を置き通電させたときに鍋の材質を判断し、自動的に鍋の種類に適した加熱を選択することで達成している。

要求がハッキリしていると、技術は全てを解決してくれるということだろう。その方法に試行錯誤はつきものかも知れない。
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