花王の『クイックルワイパー』は紙おむつに使われていた不織布繊維が髪の毛などを絡み取ることを偶然発見し、商品化された。今では世帯普及率約50%と言われるほどのヒット商品になっている。
カゴメの電子レンジ用食品『カゴメデリ』も「コンビニの大きな弁当やカップラーメンは、レジに持っていくのが恥ずかしい。」という若い女性の声が開発のキッカケになり、パッケージデザインやメニューのラインナップを女性向けに開発したところ、単価250円~300円の商品で年間売上30億円以上のヒットとなった。
縦に一週間の曜日、横に朝、昼、夕の表示があり、それぞれの欄にビニールのポケットが取り付けられた『週間投薬カレンダー』も、95歳になる母親が薬を飲み間違えたり、飲み忘れてしまったりしている姿を偶然目にしたのがキッカケで開発され、今では入院患者や病院関係者の間に口コミで伝わり、不況に関係なく大ヒットしている。
今回はこのような、「偶然」がキッカケで生まれたヒット商品をクローズアップしてみることにしよう。
「偶然」が「ヒット商品」へとつながった瞬間
写メール用携帯端末の稼働台数は今年1月から約2カ月間で100万台増加した。(写真提供:J-フォン株式会社) |
「写メール」の開発者であるJ-フォンの高尾慶二氏は以前、両親を連れて箱根を旅行した際、ロープウェイに乗り合わせた一人の観光客がロープウェイからの光景を携帯電話のメールで一生懸命文章にしている姿を偶然見かけた。「感動は誰かと共有することで何倍にも膨らむ」と考えた高尾氏は、これが『写メール』開発のきっかけになったと公表している。