全国で1000万人強、国民の10%にもなってきた花粉症人口。ここ10年でその人口は4倍になっているとの報告もあるが、残念ながらまだ決定的な対応策は出てきていない。
花粉症はアレルギー疾患の一種だそうである。アレルギーを引き起こす原因物質を抗原(アレルゲン)といい、花粉症の場合は、スギを代表とする植物の花粉がアレルゲンとなっている。この抗原を撃退するために作り出されるのが抗体である。これが免疫機能といわれるもので、健康体を維持するために重要な機能であるが、花粉症の場合これがマイナスに作用した結果といえる。
抗原である花粉を吸い込むと、抗体は肥満細胞にくっつき、ここからヒスタミンなどいくつかの刺激物が放出される。これらの物質は神経や血管に作用して神経を刺激し、鼻水や目のかゆみなどの花粉症の症状を引き起こしている。
最近のニュースでは、品種改良によってスギの花粉を、今のものよりも1/5~1/10に減少させることに成功したとの発表もあった。林野庁はこの苗木を各自治体に配布する準備を進めているとのことで期待される。しかしこれが成長して効果を発揮するのには、10~20年とかかり先は長い。
そこで当面の解決策として効果を発揮するのが花粉症対策のアイデアグッズである。代表的なものは花粉症対策マスクやメガネである。
この花粉症用マスクであるが、当初はガーゼの間に微細繊維フィルターを設けたものが多かった。その後、ガーゼの間に静電フィルターを設け、花粉を静電気で吸着させるものが出てきた。これは繊維を入れた装置内に電気火花を発生させるなどして、電荷を帯びさせた繊維である。繊維は電気抵抗が大きいので、通常は半永久的に静電効果が得られる。
ここで問題なのが、上部の隙間である。いくらフィルター効果を上げても、花粉はこの隙間から入ってしまう。そこで次なる対策はガーゼの鼻部に金具を設け、鼻のラインに沿って隙間がなくなるように、金具でガーゼごと押し当てるものである。
このほかに、三角錐のような立体構造をしたもので、顔の構造に合わせた形状のものもある。これは口の回りに空間が出来るので、呼吸が楽にでき、話やすいといった効果があるが、逆に足元が見えにくく、見た目も悪いといった評価もあるようだ。
次にメガネによる対策であるが、これも顔とメガネの間にある隙間をいかに塞ぐかに検討が加えられている。元来、花粉防止策としてスキーや水泳のゴーグルを使っていたので、これが究極のスタイルなのかもしれないが、ファッション性を考慮してどこまで普通のメガネと違和感なく出来るかが、アイデアのだしどころといえる。