契約の数日前までの文書交付義務づけを検討中
専門用語の多い重要事項説明を一度聞いただけで理解するのは無理? |
現状では重要事項説明書に書かれた内容はすべて口頭で説明しなければならず、不動産会社が勝手に省略してしまうケースもあるようです。またすべてを説明するのに時間がかかるため、かえって買主が聞き流してしまうという問題点が指摘されています。
とはいえ単に文書で示すだけでは買主が読みとばしたり読み落としてしまうことも考えられるでしょう。そこで口頭での説明を一部省略できるようにするため、重要事項説明書を契約に先立って事前に交付することを義務づけることも検討されています。具体的には契約の3日程度前に交付する案が有力とのことです。
契約の数日前に説明を受けるのは困難?
重要事項説明書を契約の数日前に交付することも重要だと思われますが、本来なら重要事項説明の手続きそのものを契約の数日前にするのが理想的でしょう。ただ、不動産会社にとっては“二度手間”になるためか、実現できているケースは現状ではあまり多くないようです。国交省が不動産会社と消費者に対してアンケートを行ったところ、説明を行う時期について「契約直前」とする不動産会社は6割を超えました。一方で消費者の過半数は「契約の1週間以上前がよい」と答えており、考え方に隔たりが見られます。
国交省では今年度中にも検討結果をまとめるとしていますが、実際に宅地建物取引業法が改正されて新しい制度がスタートするまでにはさらに時間がかかりそうです。改正まで待ってからマンションを買うというのは現実的ではありません。では、今すぐ買う予定の人はどうすればよいのでしょうか。
契約の1週間前までに書面のコピーをもらおう
解決策としては、まず重要事項説明を契約の1週間程度前に手続きしてもらうよう不動産会社と交渉することです。ただ、新築マンションでは大勢の買主の手続きを同時進行で行わなければならないので、イレギュラーな手続きにはなかなか応じてもらえないかもしれません。その場合は次善の策として、重要事項説明書のコピーを契約の1週間程度前にもらえるよう要請してみてください。この程度ならさほどの手間ではありませんので、不動産会社も応じてくれるはずです。書面を受け取ったら家に持ち帰ってじっくり目を通し、不明点や疑問があれば事前に不動産会社の担当者に聞いて解消しておきましょう。そうすれば契約直前の重要事項説明で聞き落としなどがあっても、後で困るケースは少なくなると思われます。
マンションは一生にそう何度もしない高額な買い物です。契約書にハンコを押したあとでキャンセルすると、支払った手付金は原則として戻ってきません。契約後に「こんなはずじゃなかった!」とならないよう、充分に納得してから契約を交わすようにしたいものです。
【関連サイト】
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