マンション購入術/新築マンション購入の流れ

契約は重要事項説明書をじっくり読んでから

国土交通省が不動産売買契約時の重要事項説明を見直し、事前に文書の交付を義務づけたり、煩雑な説明の一部を簡略化できるようにするよう検討を進めています。この機会に、重要事項説明についておさらいしましょう。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド

契約に先立って重要な内容が説明される

契約書にハンコを押す前に重要事項説明の内容をしっかり確認しよう
契約書にハンコを押す前に重要事項説明の内容をしっかり確認しよう
マンションなど不動産を買うときには売主(新築の場合は事業主である不動産会社)と売買契約を交わしますが、契約に先立って重要事項説明という手続きも行われます。この重要事項説明はその名のとおり、契約に当たって確認しておくべき重要な内容についての説明です。

具体的にどんなことが説明されるかというと、買おうとしているマンションの敷地や建物の面積、建物の大きさを規制する建ぺい率や容積率、敷地が所有権なのか借地権なのかといったことなど、土地や建物に関する権利内容や法規制などです。マンション生活のルールである管理規約の内容や、月々支払う管理費・修繕積立金の額、管理を委託する管理会社名なども含まれます。

また、やりとりされるお金がどんな性格のものか、契約後にキャンセルした場合に払ったお金がもどってくるのか、といったお金がらみの内容も説明されます。借りる予定の住宅ローンの金利や金額、住宅ローンが借りられなかったときに契約をキャンセルできるかどうかといったことも確認しておくべき重要事項です。

■重要事項説明書の主な内容(マンションの場合)
項目 主な内容
不動産の表示 建物・敷地の面積、敷地に関する権利など
対象となる宅地または建物に直接関係する事項 登記簿上の所有権の名義人、建ぺい率・容積率、電気・ガス・排水施設などの整備状況、敷地・建物の形状や構造、敷地に関する権利の内容、管理規約の内容、管理費・修繕積立金の額、管理の委託先、石綿使用調査・耐震診断の内容、住宅性能評価書の有無など
取引条件に関する事項 手付金や固定資産税・都市計画税精算金の額、契約の解除について、手付金等の保全措置の概要、借入予定の住宅ローンの内容、住宅ローン特約など


説明を一度聞いただけでは充分に理解できない!?

この重要事項説明は法律で不動産会社に義務づけられている手続きです。実施にあたっては宅地建物取引主任者が資格証を提示し、買主に対して書面(重要事項説明書)を交付して説明しなければなりません。

マンションを買う人もしっかりと説明を聞き、分からないことは質問などをして充分に納得してから契約書にハンコを押すべきです。ちなみに重要事項説明書にも「確かに説明を受けました」という意味で買主が日付を記入し、署名・捺印をする決まりになっています。

とはいえ、重要事項説明に盛り込まれる説明項目は180以上におよび、専門用語も多く登場します。一度聞いただけですべてを理解するのは至難の業かもしれません。それでも買主側から質問する余裕が充分にあればまだよいのですが、新築マンションの場合は購入者を一堂に集めて契約会を開くのが通常です。重要事項説明も一人の宅地建物取引主任者が大勢の買主に向かって行うので、疑問点があってもろくに質問もできないまま契約手続きに移行してしまうケースが多いのが実情になっています。

重要事項説明にまつわる問題の解決策は次ページで

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