提案営業は「顧客が抱える問題を見極めて解決策を提案する営業手法」である。問題の解決策を提案するわけだから、顧客の抱える問題を把握しなければならない。
■ 二つのタイプの問題
顧客が抱える問題には二つのタイプがある。
ひとつは、顕在的な問題である。つまり、はっきり目に見えて表れている問題だ。このタイプの問題は、顧客の話を聞いているうちに、自然と発見できる場合が多い。
顕在的な問題に対する提案営業は、顧客自身も問題を抱えていることを自覚しているため、成約に至るまでの時間が比較的短い。反面、顕在的な問題は発見が容易であるため営業対象になりやすく、他社と競合する可能性が高い。
もうひとつは、潜在的な問題である。つまり、表面にはっきりと表れないが、ひそかに存在する問題だ。潜在的な問題は、顧客自身も気付いていないため、顧客の話を聞くだけでは表面化しない。このタイプの問題を見抜くのは難しい。
潜在的な問題に対する提案営業は、顧客が問題を自覚するように啓蒙していくところからスタートする。そのため、成約に至るまでの時間は比較的長くなる。反面、問題が表面化していないため、他社と競合する可能性は低い。
■ 仮説検証で問題を見抜く
顧客に的確な質問をすることで、顧客が抱える問題を発見することができる。効果的なのは、顧客が抱えている問題についての仮説を立て、それが正しいかどうかを質問することで確かめていく「仮説検証型のアプローチ」だ。
やり方は簡単。まず、過去の事例を参考にして、自社の顧客が抱えていた問題を全てリストアップする。その中から、提案対象の顧客が抱えていると想定される問題をピックアップし、それを仮説として設定する。
一般的に、業種・業態・事業規模などが似ているれば、抱える問題も似ている場合が多い。過去の事例は、顧客の潜在的な問題を発見するためのいいヒントになる。
仮説を立てることができたら、顧客に質問しながら仮説が正しいかどうかをひとつひとつ検証していく。仮説は別に当たらなくてもいい。顧客固有の問題を明らかにするきっかけとなればよいのだ。
▼ ポイント
顧客が抱えていると想定される問題について仮説を立てる。
仮説を検証するように質問していくことで問題点を明らかにする。
■ 「不」が付く情報で問題を見抜く
仮説が立てられないときは、顧客が不満・不便・不快・不安・不利に感じていることを調べてみるといい。「不」が付く情報には、必ず問題点が隠されている。
顧客が不満・不便・不快・不安・不利に感じるのには理由があり、原因があり、その奥に根本的な問題があるはずだ。表面化しやすい「不」が付く情報を収集すれば、それが潜在的な問題を発見する手がかりとなる。
▼ ポイント
「不」が付く情報は、潜在的な問題を発見する手がかりとなる。
■ 次のステップでは
顧客が抱える問題を把握することができたら、次はその問題をニーズにまで高めていく。潜在的な問題を顕在化し、具体的なニーズにまで昇華させるのが、次のステップの目的だ。
■ 【連載】提案営業実践ガイド |
第1回 提案営業入門の入門 |
第2回 いきなり提案しちゃダメ! |
第3回 顧客が抱える問題はこれだ! |
第4回 理想-現実=ニーズ? |
第5回 問題の解決策を提案する |
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