《CONTENTS》
●答えはいつも相手の中にある(1P目)
●大切なのは相手の思いを整理すること(1P目)
●最大のポイントは、視点を見つけること(2P目)
●答えは目の前にある!(2P目)
答えはいつも相手の中にある
部屋の片付けから企画書の作成まで使える「整理術」の本 |
「答えはいつも、自分ではなく相手のなかにあるからです」
これは「コーチング」と名の付く本でよく書かれている考えですが、この文章の引用元はコーチング本ではありません。SMAPのCDやキリンの発泡酒・極生の発売キャンペーン、国立新美術館のシンボルマーク、ユニクロのTシャツ企画など数多くのヒットプロジェクトを手がけているアートディレクター・佐藤可士和氏の言葉です。(『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞出版社)より)
さまざまなジャンルのプロジェクトを数多く手がける佐藤氏ですが、アイデアが尽きる心配は全くないといいます。その理由として挙げているのが冒頭の言葉なのです。
佐藤氏はまず、きめ細かく言葉を交わしながらクライアントを「問診」していきます。数字に表れる部分だけではなく、人と人とが直にコミュニケーションした際に感触でつかめるような微妙なニュアンスであっても、そうした「問診」を通じて大事に聴いていく中で、重要なポイントが浮かび上がってくるといいます。
さて、佐藤氏の「問診」、聴き方のコツは何でしょう? 『佐藤可士和の超整理術』を参考にその秘密を探り、上司が部下の課題を探り、その魅力を引き出すヒントを見つけていきたいと思います。
大切なのは相手の思いを整理すること
相手の中にある答えを引き出すために、重要なこととして佐藤氏が挙げているのが、「相手の思いを整理する」こと。著書のタイトルにもなっているように、「整理」ということが佐藤氏の仕事術の根幹になっています。「整理なんてわかっているよ、部下の思いなんて整理するまでもないよ」と思っている人は、次の佐藤氏の言葉を噛み締めてみましょう。
「しかし、多くの人は、自分の目の届く限られた範囲内で現実を理解し、あまり疑問をもたず、世の中をシンプルに捉えているのではないかと思います。まず、こうした状況に危機感をもつことが、問題解決への第一歩となるのです」
あなたの部下を思い浮かべてみてください。どこまであなたはこの部下のことを知っているでしょう? 表面的な分析にとどまり、現状把握ができたつもりになっていないでしょうか?
「問題の本質に迫ろうとするポジティブな姿勢を保つことが、整理術の大前提となるのです。」
部下のマネジメントでいうと、部下の本質、すなわち、部下の服装や行動、スキルといった面だけでなく、その奥にある部下が大切にしている価値観、はまりこんでいる思い込み、何か避けていることなどに踏み込んでいくことが求められているのです。
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