「本当の自分」の条件は「自由」と「承認」著者自身の「本当の自分」発見の体験を織り交ぜながら、「本当の自分」の謎に迫る――現象学的に考えて、「本当の自分」を実感する条件とは何なのでしょう?山竹:詳しくは、『「本当の自分」の現象学』という私の著書をご覧いただきたいのですが、結論から言うと、「自由」と「承認」です。人は「自由」と「承認」が得られたときに、「本当の自分」を実感することができるのです。――ということは、行っている仕事が何であれ、「自由」と「承認」さえ得られれば、「これは本当に自分がやりたい仕事だ」と思えるということなのでしょうか?山竹:「自由」と「承認」はあくまで条件なので、必ず「本当の自分」の実感が得られるとは限りません。しかし、やっている仕事の内容より、「自由」と「承認」が得られるかどうかが重要になるのは確かです。例えば、ある会社に勤めている人が、周りからはその力を認められ、「承認」されているけれども、自分では何か周囲の期待に合わせているだけの「偽りの自分」と感じて転職したとしましょう。「承認」はあっても、「自由」がなかったわけです。転職先の新しい仕事は確かに自分で選んだもので、自分の思うように仕事ができます。「自由」はあります。しかし、周りからの「承認」が得られなければ、これが「本当の自分」なんだろうかと感じてしまう可能性があるのです。「自由」と「承認」の両方に目を向ける――ということは、どんな仕事をするか、具体的な仕事内容はそんなに重要ではないということでしょうか?山竹:もちろん重要ですが、仕事や会社の内容ばかりに目を奪われるのではなく、「自由」と「承認」に目を向けることが大切なのです。「自由」と「承認」をどれぐらい得ているのか? もし十分に得ていないとしたら、どうやったら得られるのかを考えるほうが近道です。そうしないと、いつまでも転職を繰り返したりすることになりかねません。――「仕事を変えれば……」「会社を変えれば……」と思いがちですが、実は本当に大事なことに目を向けていないわけなんですね。山竹:「自由」と「承認」の両方に目を向けることが大事です。ついつい人は「自由」と「承認」のどちらか一つだけに目を向けて、それを満たすための行動をとりますが、その結果、もう一つのほうが失われると、「本当の自分」の実感は結果として得られなくなります。――「自由」と「承認」のバランスも大事なわけですね。ところで、実際には、どうやったら、「自由」や「承認」をより満たせるのでしょう?山竹:そのためには……(次回に続く)「本当の自分」を解くカギは「自由」と「承認」。自分自身の状況と照らしあわしてみていかがでしたか? 次回は、「自由」と「承認」をより満たしていくにはどうしたらいいのか? その方法を山竹さんにたずねていきます。お楽しみに!「哲学者に聴く ・本当の自分を探す(後編)【関連書籍】■『「本当の自分」の現象学』(山竹伸二著 NHKブックス)【編集部おすすめの購入サイト】Amazonでコーチング関連の書籍をチェック!楽天市場でコーチング関連の書籍をチェック!前のページへ12※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。