マンション購入術/マンション情報収集術

完成済み物件5つのメリット

不動産経済研究所調べでは2008年末現在、マンションの販売在庫は1万2,000戸超、そのうちの半分が完成済み物件と言われています。一見、不利と思われがちな完成済み物件のメリットについて考えてみましょう。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド

サブプライムローン問題やリーマン・ショックの影響で、売れ行きが急速に悪化したマンション市場。不動産経済研究所の調べによると2008年12月末現在で販売在庫は1万2,000戸超、そのうちの半分が完成済み物件と言われています。マンション販売では、以前は大規模物件などで、工事に着工してほどなく販売を始める「青田売り」が多く見られました。そのため、建物が竣工した後で売る「完成済み物件」と聞くと、売れるのに時間のかかった不利な物件なのでは? と考える人も多いようです。しかし、果たして、完成済みマンションは本当に不利な物件なのでしょうか? 完成物件が豊富にある今、その魅力・メリットについて考えてみたいと思います。

モデルルームやパンフレットでは分からない
ポイントを自分の目で直接確認できる

未完成売りの物件の場合、通常はモデルルームを見て購入するかどうかを決めます。マンションギャラリーには1~3タイプ程度のモデルルームを展示している場合が多いのですが、それが自分の購入したい住戸の間取りや内装とまったく同じということは、むしろ少ないでしょう。モデルルームはあくまで物件のイメージをつかむためのものと考え、あとは図面を見て判断することになります。これに対して、完成済み物件のメリットはスバリ「実物を確認できる」こと。そのメリットを紹介していきましょう。

 

メリット1:間取りの使い勝手がチェックできる

図面上の帖数では十分な広さがあるように感じても、いざ入居してみたら形が使いにくくて広さを有効に使えない、家具が置きにくい、といった声も聞かれます。反対に図面では少し物足りなく感じていても、実際に見てみると思ったよりも天井が高くて広く感じたというケースも少なくありません。特に最近は、梁を室内に出さない「アウトフレーム工法」に高さのあるハイサッシで広さや開放感が実感できるケースが増えているようです。

また、部屋の回遊性や家事動線といった点も自分で動いて確認したほうが、図面でイメージするよりも入居後のギャップは最小限に抑えられるでしょう。このように完成済み物件なら図面だけでは実感しにくい、広さや開放感、間取りの使い勝手を自分で直接さわって、動いて確かめることができます。

メリット2:日当たり・眺望が確認できる

完成物件ならバルコニーからの眺めや日当たりが直にチェックできる
完成物件ならバルコニーからの眺めや日当たりが直にチェックできる
日本人は特に南向き信仰が根強いため、南向きから早く売れてしまう傾向があります。価格もほかの方角に比べ高めに設定されがち。しかし、だからといって本当に、南向き以外の方角は損なのでしょうか? それを確認できるのも完成済み物件ならでは。住戸の階数やバルコニーの奥行き、角住戸か中住戸か、そんな違いでも日当たりや採光には差があります。西向きだからとあまり期待せずに見た住戸が、冬場は暖かく、さらに思いがけず眺望がよかったため購入したという例も実は意外に多いのです。

未完成物件では図面から周辺の建物の見え方などを予測して購入することになりますが、完成済みであれば、自分の買いたい住戸からどんな景色が見えるか、周囲の建物からの視線は気にならないか、風通しはいいかといった細かい部分までもチェックできます。

メリット3:外観・共用部分がチェックできる

マンションの顔とも言える外観。モデルルームの見学では、シアターや立体模型などでイメージを確認できるようにしていますが、やはり、これも百聞は一見にしかず。自分で直接見て、そのグレード感を確認できれば安心でしょう。完成している物件であれば、エントランスやラウンジ、庭の植栽の雰囲気なども肌で感じることができます。また、駐車場や、来客を泊めるゲストルーム、子どもを遊ばせるキッズルームなど、付帯する共用施設もどんな使い勝手か確認することができるでしょう。

完成済みマンションのメリットはまだまだあります。

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