マンション購入術/マンション情報収集術

売主が施工するマンションって何がいいの?(2ページ目)

分譲マンションは売主と施工会社が別なケースが一般的ですが、なかには売主自ら施工する物件もあります。そうした売主が施工するマンションにはどんなメリットがあるのか、考えてみましょう。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド

大手ゼネコンが先端技術を導入

大手ゼネコンの鹿島建設は、デベロッパーが分譲するマンションの施工を手がけることが多いのですが、売主として自社施工の物件を分譲することもあります。他社分譲のマンションでも高い技術力に定評のある同社ですが、デベロッパーとして取り組む場合は特に先端技術の導入に力が入るようです。

例えば同社が東京都板橋区で分譲中の「加賀レジデンス」は、壁式免震構造と呼ばれる構造に超高層マンションで用いられるコアウォールという技術を採り入れ、柱や梁のないフラットな住戸を実現しています。住戸内に出っ張りがないので、バルコニーに面した開口部のほぼ全面が窓になり、将来の間取り変更の際の自由度も高い物件です。

専業ゼネコンとしての技術力を活用

躯体を壊さずにバルブなどを交換できる長谷工コーポレーションの配管システム
躯体を壊さずにバルブなどを交換できる長谷工コーポレーションの配管システム
マンション専業のゼネコンとして知られる長谷工コーポレーションは、共同事業の物件の売主となるケースが少なくありませんが、1社単独で売主としてマンションを分譲するケースもあります。例えば同社が埼玉県さいたま市と大阪府吹田市で分譲を予定しているマンションは、長持ちするマンションとして国土交通省による2008年度の「超長期住宅先導的モデル事業」に採択されました。ひび割れしにくいコンクリートや交換しやすい配管システムなど、耐久性や可変性の高い技術の活用が評価されています。

また同社では建築コストを抑えつつ、購入者の好みに応じて仕様や設備を選べる「Be-Liv(ビーリブ)」のシステムを開発し、自社分譲マンションの「ブランシエラ川口青木町公園」に採用しています。いずれもマンション専業ゼネコンとして培った技術を、自社分譲マンションに適用するケースとして注目される物件です。

自社施工のオーダーメイドマンション

分譲するマンションをすべて自社で設計・施工しているのが山田建設です。社名からも分かるように、元々は施工会社としてスタートし、今では自社で分譲も手がけるようになっています。その同社が購入者の好みを間取りや内装に反映するために開発したオーダーメイドシステムが「自在空間」です。

オーダーメイドマンションは購入者とのプランの打ち合わせや施工会社との調整などに手間がかかるので、手がけるデベロッパーは限られます。同社は設計・施工から自社で手がける強みを生かして効率的なシステムを構築し、さらに中国の自社工場で建材や機器を特注することで建設コストの低減も実現しました。同社の分譲マンション「ミオカステーロ」シリーズでいくつかの供給実績があります。


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