「コーチングの基本を知ろう!」シリーズの2回目です。第1回目は「教えないコーチ」を紹介しました。第2回目は「コーチはタクシーの運転手である!」という大胆な例えでコーチの本質をお伝えしながら、コーチングを支えるマネジメント理論も紹介します。
《CONTENTS》●「お客さん、どこ行きますか?」(1P目)●コーチはタクシーの運転手(1P目)●人は怠惰か? 勤勉か(2P目)●上司の見方が部下の行動を決める(2P目)●有能感・自己決定感を高めるのがカギ(3P目)●上司は「運転手・ガイド・ナビゲーター」(3P目)
「お客さん、どこ行きますか?」
タクシーに乗ると聞かれることは? |
そこにお客さんが乗ってきました。乗ってきたお客さんは、行き先をなかなか告げてくれません。
「最近、仕事が大変でやってられないんですよ」などと愚痴をダラダラと、こぼしています。
そんなお客にタクシーの運転手であるあなたならどう言いますか?
「お客さん、どこに行きたいんですか?」
こう言いますよね。
それでもお客は「○○に行こうかな……。それとも△△に行こうかな。」と迷って、行き先を決めてくれません。
そんなお客にあなたはどう言いますか?
コーチはタクシーの運転手
お客が何を言おうと,必ずタクシーの運転手は、「お客さん、どこに行きたいんですか?」
と行き先をたずねます。お客が答えないとしつこく繰り返したずねます。
こんなタクシーの運転手に、コーチはたとえられます。
コーチは相手がどうしたいのか? どうなりたいのか? 答えが出るまで、しつこく、繰り返したずねながらかかわってくれる存在なのです。
上司であるあなたはどうでしょう? タクシーの運転手のように、部下に行きたいところをたずねていますか?
もしかして、自分が行きたいところを説明するだけで、何も聞かずに走り始めていませんか?また、何もしゃべらずに無言で走っているかもしれません。
ちょっと想像してみてください。後ろに乗っている部下の気持ちはどうでしょう? どんな表情をしていますか? ワクワクしているでしょうか? 楽しんでいるでしょうか?
こんなことを言うと、次のような声が聞こえてきそうですね。
「部下はお客じゃないし、行き先を決めるわけじゃない。そもそも、部下に行き先をたずねたら、とんでもないところを言うかもしれないだろう!」
確かに上司の役割はコーチだけではありません。でも、部下に行き先をたずねることはそんなに危険なことでしょうか?
部下に行き先をたずねないとどうなる? 次ページへ>>