「俺流」コーチングは観察。指示でも放任でもない
「コーチは教えるものではない。見ているだけでいいのだ」 (『コーチング』より)コーチングというと、部下の好きなようにやらせるとか、勝手にやらせることと思う人がいますが、それは大きな誤解です。ある意味、これまで以上に部下に関わることが必要になってきます。決して放任することではありません。このことを落合監督は「見ているだけでいいのだ」とズバリと言い切ります。
「見ているだけ」といっても、ボォーと眺めているのではなく、しっかりと相手の良い部分は何か、悪い部分は何か? についてしっかりと観察することが求められます。さらに、それをどう伸ばせばいいのか? どう修正すればいいのか? についてちゃんと答えを出しておくことが、企業における“コーチ”である上司にも必要です。
そして、たとえ「こうやったほうがいいのに」と思っても、「教えるものではない」のです。落合監督はこう言います。
「実際にやっているのは選手本人だ。本人の感覚までは、我々にはわからない。」
「野球が上達する一番の秘訣は、技術的なことでも精神的なことでもない。その選手の感性の豊かさだ。」 (『コーチング』より)
選手の感覚や感性、すなわち選手がどういうふうに見ていて、聞いていて、感じているのか? それは目に見えないものであり、そこを理解せずに、やり方だけを教えてもかえって混乱するばかりなのです。選手自らが教えを求めてきて、それを自分の感覚に落とし込みながら身に付けるときに初めて教えることが有効になります。
これは野球に限らず、あなたの仕事の現場でも同じことが起きているでしょう。人それぞれの感覚で、見たり、聞いたり、感じたりしています。頭の使い方、体の使い方も微妙に異なります。そこを踏まえなければ、「お前は間違っている。こちらが正しい」と押し付けたところで、部下は混乱するだけになってしまいます。
「コーチは教えるものではない。見ているだけでいいのだ」
指示でもなく、放任でもない。しっかりと相手を観察する。ここからコーチングが始まります。