「上司はこれからどうなりたいんだろう?」
ふっと、上司に対する疑問というか、質問が湧いてきたかもしれません。「これからどうなりたいんだろう?」
「何を考えているんだろう?」
「どんな気持ちでいるんだろう?」
「何を大事に生きているんだろう?」などなど。
あわてて、口に出して聴く必要はありません。そんな質問を持ちながら接してみてください。前よりも、上司の気持ちがわかったり、素直に話を聴けている自分がいるでしょう。そうして、上司の話を聴いているうちに、ふとこんな質問が「ポーン」と口から出てしまうかもしれません。
「部長(課長などなど)はどうなりたいんですか?」
聴かれた上司は少し面食らうでしょうね。「いきなり、何を聴くんだ?」と戸惑ったり、少しイライラするかもしれません。また、黙って少し目線を上げて考え込むかもしれません。どちらにしても、これまでの上司とのコミュニケーションでは、見せなかった上司の一面が見えてきます。“上司”という会社での役割をかぶった姿ではなく、その中にある“人”としての姿が見えてきます。そんな姿を見て、あなたの上司への好奇心がますます高まっていくでしょう。
上司本人にしても、「自分がどうなりたいか」ということは考えたことは滅多にないのが普通です。フッと出てきた戸惑いやイライラ、ぼんやりと見えた将来の自分の姿に、上司自身がびっくりしているでしょう。“上司”としての役割にとらわれて気づかなかった自分の感情や思いに触れ、何かが変わり始めるかもしれません。
ナイスな関係ではなく、リアルな関係に
コーチングが目指すのはナイスな関係ではなく、リアルな関係です。“いい”関係ではなく、本音の関係です。決して“いい上司”や“いい部下”を演じて表面的な関係を取り繕うものではありません。生身の“人”と“人”との関係です。あなたにしてもあなたの上司にしても、自分自身の人生を「よりよく生きたい」という思いに変わりありません。その思いにお互いが意識を向け、コミュニケーションできたら、上司との関係はどう変わるでしょう?上司を好きになったり、仲良くはならないかもしれません。そして、無理にそうする必要もありません。ただ、一人の“人”として、その存在を認めることはできるようになる可能性があります。
サッサと会社を辞める前に、愚痴を言い合う前に、まずは上司を眺めてみてください。上司という“人”に関心を持ち、問いを持って接してみてください。フッと出てきた質問をそのまま上司に投げてみてください。そして、また上司を眺めてみてください。
まずは上司を眺めること。ここから変わり始めます。
【関連サイト】
■傾聴を妨げる心理ブロッキング現象
■聞く力の源は人に対する好奇心
■『上司は思いつきでものを言う』(橋本治著)