キャリアプラン/キャリアプラン事例

『Soup Stock Tokyo』 遠山正道社長(2ページ目)

アートとビジネスは両立できる! 話題のお店『スープ ストック トーキョー』の遠山正道社長は、注目の起業家であり、一流のアーティスト。アーティストとしての才能を、眠らせるのはもったいない。

執筆者:角田 正隆

麻雀の相手を検索!?

電子メール活用のメリットを具体的なストーリーで描いた 
私が「情報化推進室」に配属された当時、三菱商事でもパソコンは1部署に3台ぐらい、部屋の片隅に置いてある程度でした。

実際に自分で電子メールやパソコン通信を利用して、「世の中が一変する」と確信した私は、多くの人に電子メール活用のメリットを訴えるため。商社の課長を主人公にした、電子メールが活躍するストーリーを企画書としてまとめました。

例えば、課長が仕事を終えた帰り際、ふと麻雀がやりたくなって、パソコンで相手を検索すると、6人ぐらいの麻雀仲間がリストアップされて、「誰にしようかな?」って相手を選ぶとか(笑)。

その頃よく労働組合が、社内アンケートを実施していました。用紙に手書きで記入させ、回収した用紙を集計していたのですが、それを電子メールで行うことで、作業が大幅に短縮するといった話も盛り込みました。

商社は英文の書類も多い職場です。英語で書かれた契約書などを、帰宅する前にアメリカにいる学生に電子メールで送信しておくと、翌朝出社するときには和訳されてメールで届いているといった場面も書きました。

「麻雀」というのが、やや時代のノスタルジーを感じさせますが、商社の人がイメージしやすい“具体的なシーン”をピックアップして、多くのエピソードを紹介したのです。

イメージの具現化

遠山氏の作品
社内の随所に遠山さんの作品が飾られている
遠山さんが『電子メールのある1日』を書いたのは94年。「ウィンドウズ95」が出る以前でした。今でこそビジネスにITを活用するのは、当たり前の時代になりましたが、当時はパソコン導入で実際の仕事がどう変わるのか、具体的なイメージが湧かないといった状況でした。

そんなタイミングに、見事にイメージを具現化させ、メールが導入された職場の風景をイキイキと描いた遠山さんの企画書は、多くの人に支持されました。

そもそも企画書とは、そのモノやサービスで何ができるのか、それを知らない第3者に伝える書類です。そのほとんどが「箇条書き」や「文語調」で書かれていますが、ストーリー仕立てにまとめ、イメージを喚起させる遠山さんのスタイルは、相手にとてもフレンドリーだったはずです。

未知のコンセプトを相手に理解してもらうといった場面で、ものすごく威力を発揮してくれそうな企画書スタイル。読者の皆さんも応用してみてはいかがでしょうか?

>スープ専門店という業態を、いかに発想したか?

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