『始まり』は「ペットも家族と同じ!」
▲ガイドの愛犬「ペットは家族だ!」 |
そこで小森氏は、ペットを“擬人化”した上で、保険制度を改めて再定義してみた。すると細かな言葉の表現まで、全て見直すべきだと思うようになった。一斉に広告の表現や資料の記述などを改め、会社の姿勢を明確にした。しばらくすると、アニコムの変化を感じ取った愛犬家などが、徐々にアニコムの保険制度に加入してくれた。
ついに飼い主が動物病院に働きかけ、アニコムへ対応するようリクエストすることも増えた。さらに新聞などでアニコムが取り上げられるようになると、成長スピードに加速が付き、見事アニコムは業界最大手に登りつめる―――。
あの“ひとこと”がなければ、いまごろ小森さんはどうなっていただろうか?
小森さんの教訓「自分を見失うな!」
▲アニコム小森さん“内部崩壊のワナ”に罹った |
アニコム小森さんも“内部崩壊のワナ”に罹(かか)った1人だ。自ら完成させた保険システムへの自信が強かったあまり、システムに“心”が足りなかったことに気づかなかった。
普通の状態であれば、小森さんは臨機応変に対応していたかもしれない。しかし、多額の資金を集めた起業という特殊な状態の中、小森さんのセンサーに狂いが生じていた。状況はますます悪化するばかりだった。
これは我々の日常生活にも十分起こりうることだ。「新人時代の意気込み」や「結婚生活への誓い」など、大切にすべき価値がいつの間に“風化”してしまっていることがある。
それを防ぐには努力が必要だ。例えば、「率直に語れる友人」や「打ち解けた同僚」を持つこと、定期的に自分に生じた“誤差”をチェックする「日記」や「習慣」などツールの活用も一案ではなかろうか。
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