キャリアプラン/キャリアプラン事例

苦境を救った「ひとこと」(6ページ目)

人間誰しも壁にブチ当たり、それを乗り越え大きくなる。しかし、壁が大きいほど悩みも深く、絶望感すら感じるときがある。そんな苦境を救うのが、思いがけない恩師や仲間の「ひとこと」だ!

執筆者:角田 正隆

『始まり』は「ペットも家族と同じ!」

ガイドの愛犬「ペットは家族だ!」
損害保険会社のエリート社員だった小森さんは、“プロの保険屋”ゆえに保険を「機械的」に捉えていた面もあった。だが、ペットの飼い主はペットを “モノ”とは考えていない。家族の一員として“ヒト”同等に付き合っているのではないだろうか?

そこで小森氏は、ペットを“擬人化”した上で、保険制度を改めて再定義してみた。すると細かな言葉の表現まで、全て見直すべきだと思うようになった。一斉に広告の表現や資料の記述などを改め、会社の姿勢を明確にした。しばらくすると、アニコムの変化を感じ取った愛犬家などが、徐々にアニコムの保険制度に加入してくれた。

ついに飼い主が動物病院に働きかけ、アニコムへ対応するようリクエストすることも増えた。さらに新聞などでアニコムが取り上げられるようになると、成長スピードに加速が付き、見事アニコムは業界最大手に登りつめる―――。

あの“ひとこと”がなければ、いまごろ小森さんはどうなっていただろうか?

小森さんの教訓「自分を見失うな!」

アニコム小森さん“内部崩壊のワナ”に罹った
危機には2種類ある。「外部環境の変化」による“事故”によるものと、「内部崩壊」というべき“自分のミス”によるものだ。実は危機というのは、ほとんどが「内部崩壊」に起因する。

アニコム小森さんも“内部崩壊のワナ”に罹(かか)った1人だ。自ら完成させた保険システムへの自信が強かったあまり、システムに“心”が足りなかったことに気づかなかった。

普通の状態であれば、小森さんは臨機応変に対応していたかもしれない。しかし、多額の資金を集めた起業という特殊な状態の中、小森さんのセンサーに狂いが生じていた。状況はますます悪化するばかりだった。

これは我々の日常生活にも十分起こりうることだ。「新人時代の意気込み」や「結婚生活への誓い」など、大切にすべき価値がいつの間に“風化”してしまっていることがある。

それを防ぐには努力が必要だ。例えば、「率直に語れる友人」や「打ち解けた同僚」を持つこと、定期的に自分に生じた“誤差”をチェックする「日記」や「習慣」などツールの活用も一案ではなかろうか。


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