キャリアプラン/キャリアプラン事例

苦境を救った「ひとこと」(5ページ目)

人間誰しも壁にブチ当たり、それを乗り越え大きくなる。しかし、壁が大きいほど悩みも深く、絶望感すら感じるときがある。そんな苦境を救うのが、思いがけない恩師や仲間の「ひとこと」だ!

執筆者:角田 正隆

「『営業は断られてから始まる』と言ったじゃないですか!」自殺すら考えたどん底状態を救ったのは1人の新入社員だった
どうぶつ健保アニコム 理事長 小森 伸昭氏

小森 伸昭氏 69年神戸生まれ。92年京大(経)卒。同年東京海上火災保険入社。96年から3年間、当時の経済企画庁(現内閣府)へ出向。2000年、アニコム設立。ペット健康保障共済をスタート。記事「好きなことが生むパワー」
ペットの健康保障共済制度のアニコムの小森伸昭理事長は、意気揚々と立ち上げた事業が軌道に乗らず、頭を悩ませていた。

ペットの保険制度を成立させるには、ペットの加入者からの掛け金も必要だが、制度に協力してくれる動物病院を確保する必要がある。ところが、いくら獣医師に営業しても、彼らは全く取り合ってくれなかったのだ。

小森さんは、激減する創業資金と並行するように、自信とやる気を失い、昼頃出社しても椅子に座ったままボーっと1日過ごすノイローゼ状態になってしまった。

「このまま資金が底を尽けば、創業資金を出してくれた人に多大な迷惑をかけてしまう」

そのプレッシャーがマイナス思考に拍車をかけ、ついに「もう死のう」と真剣に自殺すら考える状態まで陥った。


新入社員の“ひとこと”

小森さんの表情は明るい
ついに観念した小森氏は、全社員を集め「会社を閉鎖しよう」と切り出す。他の社員は「ついに」と覚悟したが、1人の新入社員だけは、

「『営業は断られてから始まる』と言ったのは社長じゃないですか! 僕は社長について行きますよ」と言う。

確かに小森さんは、営業未経験者の新入社員に、そんなことを説いたかもしれない。しかし当の本人は、いつの間にか忘れていた。小森さんが事業に賭けた熱い気持ちの“反作用”か、思い通りに行かなくなると、鼻をへし折られたように自信を喪失してしまったのだ。

そんな状況を浮き彫りにする“ひとこと”だった。

「『営業は断られてから始まる』確かにそうだ。俺はそれを実践しているか―――」

何も知らない新人の言葉が、逆に心に沁みた。

数年かけて作り上げたペット保険制度の仕組みに、当初はゆるぎない自信があった。しかし、見事なまでに『営業は断られた』。では、何を始めればいいんだ? なぜ断られたのか? そんな自問自答を繰り返すうちに、こちらが改めるべき点もあるように思えてきた。


>新しい出発が『始まる』!
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