マンションの内覧会とは
内覧会とは、マンションの施工がほぼ終わった段階で、マンションの購入者に住宅を公開し、契約通りに仕上がっているかチェックしてもらうために設けた日のことを言います。施工会社や設計担当者は同行しますが、彼らがチェックをするわけではありません。あくまでも購入者側がチェックする、最初で最後の機会です。ほぼ施工が終わった段階でのチェックなので、チェックは目に見える範囲について行います。図面通りの間取りになっているか、建具の立てつけは良好か、内装材の傷や汚れなど細かいところもチェックします。この日チェックされた内容については期日を決め、その日までに直してもらいます。
内覧会で失敗しないために知っておきたいこと
このように、内覧会は入居前にチェックを行う最後のチャンス。貴重な日なのですが、今まで図面やパースでしか見たことのないわが家に初めて足を踏み入れるため浮足立ってしまい、チェックもそこそこに家具スペースやカーテンの寸法を測っておしまいになってしまったという話もあります。繰り返しますが、内覧会とは購入した部屋や共用部がきちんと契約通りに施工されているか、施工精度はよいか、購入者がチェックを行う貴重な日であることをお忘れなく。 それでは、内覧会で失敗しないために心得ておきたいことをお伝えします。
遠慮しすぎない
まずは、内覧会に挑む姿勢の話から。内覧会では、購入者がチェックをする際、施工会社、設計会社、または販売会社の人などが同行し、説明や質問への対応をしてくれます。その時、以下のような経験をした方もいらっしゃるようです。・相手方との関係を良好に保ちたいため、言いたいことが言えなかった
・床のキズが気になったため言ったところ、「それは許容範囲内だ」とか「直せない」など拒否された
ここで覚えておいていただきたいことは「購入者は手直しをしてもらう権利を持っている」ということです。遠慮は無用、気になる部分は納得するまで説明してもらい、直すべき部分については直してもらうようにしましょう。まずはそのような姿勢で挑むことが、第一関門と言えます。
時間制限を気にしすぎない
また、中には内覧会に時間制限を設けているケースもあるようです。しかし、時間制限はあくまで販売会社側の都合によるものなので、気になる部分があったら納得するまで説明してもらいましょう。内覧会での必ずチェックしたい3つのポイント
それでは次に、プロの同行サービスなどに頼らず、自分たちで内覧をする際のチェックポイントについてお伝えします。1.図面や契約通りになっているか
それでは次にチェックする内容についてです。内覧会でまず行うことは、契約した内容の通りの出来上がりかどうかのチェックです。部屋の広さ、天井高さ、収納の有無、梁の出っ張りなどが契約図面通りかチェックします。当日はスケール(巻尺)を持参して、部屋の間口寸法や天井の高さを測って確認したり、収納や梁の位置、形状などを確認したりしてください。吊り戸棚があるはずなのにない、収納の出入り口の位置が違ってる、コンセントが足りないなど、後から直すには大変な部分は特に、この日に見つけるようにしてください。
もし図面と現場で食い違いがある場合は、それは許容できることなのか、それとも買い手にとって不利な食い違いなのか、判断しなくてはいけません。もし不利な食い違いであれば、図面通りに直してもらうよう伝えましょう。
2. 床と壁は水平または垂直か
図面どおりに出来上がっているか確認したら、今度は施工精度を確認します。床は水平か、壁は垂直か。もし床が水平、または壁が垂直に出来ていない場合は、家具を置いたときに隙間が出来たりぐらぐら不安定になったり、建具のたてつけも悪くなります。簡単な調べ方としては、床でビー玉を転がすとわかります。3/1000までの勾配なら施工の許容範囲となりますが、気になった場合は次の指摘事項確認日までに床の傾斜の度合いを調べてもらい、報告してもらうようにしましょう。
3. 内装材の施工は良好か
次に仕上げ材の精度です。コンクリートの壁や天井に直接ビニールクロスを張る直仕上げの場合、コンクリートの施工精度が悪いとでこぼこが気になります。気になる限度は人それぞれですが、実際に「気になる」と思ったら、遠慮せず申し出ましょう。内装仕上げでは、ビニールクロスのはがれ、穴開き、継ぎ目の浮きなどは全部チェックします。ペンキなどの汚れ、サッシ枠やガラスの傷、凹みなども指摘します。サッシや戸など人が出入りする場所は、職人さんの出入りによって多少の傷がつくこともあります。このように傷付きやすい場所をより注意して見ると良いですね。
「手」に触れるところ、「目」に付くところを重点的にチェック!
内覧会にプロを同行する人もいます。しかし、内覧会では基本的に見える部分のチェックとなるため、一般の方でもチェックすることはできます。ポイントは「手に触れるところ、目に付くところを重点的に、五感を信じて」チェックすることです。床下、天井裏、PSシャフトは点検口を開け、くまなくチェックを行いましょう。水がたまっていないか、配管類は整然と配置されているか、ゴミは落ちていないか、カビくさくないかなど、目や鼻、五感で異常がないかチェックしてみてください。
「手」でチェックすべきところは?
手に触れる部分は日常生活のなかで気になりやすいため、実際に触って確認するのが一番です。例えば、建具や収納の扉などは実際に開閉してみてガタツキがないか、重くないかなどをくまなくチェックしましょう。壁にビスが打ってある場合は触ってみて安全であるかを確かめる、カウンターや木の部分はささくれ立っていないか確認する、触るだけでなくゆすってみてしっかり取り付けられているか、強度は大丈夫かを確認しましょう。
「目」でチェックすべきところは?
視覚的に気になる部分は、先ほども述べた「まっすぐもしくは垂直に」取り付けられているかということや、照明器具のとりつけ位置が偏っていないかなどが該当します。見ていて安定する形でモノが納まっているか確認してみましょう。納得するまでチェックすることが満足度を左右する
冒頭でもお伝えしましたが、遠慮をして言いたいことがいえなかったり、時間を気にして納得するまでチェックできなかったりすると、あとあと不満が残るものです。内覧会の日は、施工会社、販売会社、設計会社も一日時間をとって対応しているはずですから、時間を掛けてきちんと説明を受け、納得するまでチェックすることをお勧めします。
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