マンション物件選びのポイント/マンションの性能・耐久性

マンションの将来性は「階高」で決まる(3ページ目)

買う前に必ずチェック!今回は、居住性はもちろん将来のリフォームや間取り変更のカギを握るマンションの階高(かいだか)に着目。天井高ばかり気にしていた人は要注意です(初出:2007年9月12日)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド


階高は変更不可能。だから買う時が大切

二重床と直床の違い
二重床と直床の違い。二重床の場合、床下の空間に設備配管を通すことができる。
購入の際にチェックすることが大切なワケはもうひとつあります。それは、階高寸法は購入後に変えることができないことです。

例えば、いざリフォームをしようとした時に「床下寸法を確保したい。だから床スラブを少し削っちゃおう」はできないのです。なぜなら床スラブや天井スラブといったコンクリート躯体部分は重要な構造体であり、マンションの住人全員の持ち分となり(「共用部分」といいます)、決して購入者独自の判断で削ったり壊したりしてはいけないという決まりがあるからです。

 

後から直床を二重床に変更するのは難しい

また、コンクリートをいじれないなら直床を二重床に変更すればよい、と考えるのも現実的ではありません。室内にあるドアや窓と干渉し、床を上げることは至難の業です。階高に関しては購入後の変更はきかないこと、かつ直床・直天井のものは将来的なリフォームに対応しにくいということを頭に入れて、購入前にしっかりチェックするようにしましょう。

躯体天井高をわかりやすく表示!住宅性能表示制度

もう皆さんご存じの「住宅性能表示制度」の中で、この間取り変更のしやすさを評価するために、平成19年4月から「躯体天井高」の表示が義務付けられました。躯体天井高は、階高から天井スラブ厚を引いた、実質の高さ寸法を表しています(1ページ目の【図1】Bの部分)。

マンションの構造はいろいろあり、スラブ厚さにしても薄いもの(15cm程度)から厚いもの(30cm程度)まであります。階高からスラブ厚を引くことで、縦方向の有効寸法を知ることができ、それを将来のリフォームのしやすさの目安にすることができるという趣旨です。

梁下寸法もリフォームに影響を与える

また、この制度では躯体天井高の明記だけではなく、住戸内に出てくる梁・柱の有無や、梁下寸法も明記されることになっています(建物の4周にある梁・柱は除く)。梁や柱というものも、住戸内にあれば将来のリフォームに制約が出ます。その観点ではやはり住戸内に梁も柱もないものがベストです。
【図2】梁をバルコニー先端に設けた例。サッシは天井まであるハイサッシにすることができる(クリックで拡大)。

【図2】梁をバルコニー先端に設けた例。サッシは天井まであるハイサッシにすることができる(クリックで拡大)。


【図2】は建物の断面図です。この図のようにバルコニー側に出る掃き出し窓をハイサッシ(天井まである高い窓)にするために、本来ならサッシの上にある梁をバルコニー先端まで移動するなど、居住性を求めてさまざまな努力や工夫が施されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

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