マンション物件選びのポイント/マンションの防音・騒音対策

マンションの騒音はどこまで許されるのか

マンション住まいで一番苦情が多いとされる「騒音問題」。子どもの声や足音といった生活騒音が原因で裁判になる事例もあり心配は尽きません。今回は「騒音」とされる音の基準、軽減する工夫、マンション選びのチェックポイントなどを見てまいります。(初出:2007年10月/改定2018年4月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

裁判になった騒音問題

2007年、公園で遊ぶ子どもの声や、マンションの子どもの足音に対する訴訟が立て続けに行われました。西東京市では子どもの噴水遊びの騒音が認められ噴水が使用停止に、そして板橋区ではマンション上階の子どもの足音で子どもの父親に36万円の賠償命令が下りました。

マンションでの生活では気をつけなければならないことがあります

マンションでの生活では気をつけなければならないことがあります


マンションの騒音問題といえばマンションに住む方にとって一番の頭痛のタネ。これから同じような訴訟、判決が下される可能性も出てくると考えられます。

そこで今回は、子どもの足音のほかにもいろいろある「生活騒音」にはどのようなものがあり、どのくらいうるさいのか(→1ページ目)、マンションの騒音を減らす工夫(→2ページ目)、マンションを選ぶ時のポイント(→3ページ目)について見ていきましょう。

騒音の基準値を確認

一般的に「騒音」とされるのかどうかについては、平成10年に交付された環境庁の告示第64号(平成24年3月改正告示54号)に具体的な基準値が定められています。それによると住宅地では昼間の騒音は55デシベル以下、夜間の騒音は45デシベル以下とされています(表1参照)。

【表1】騒音の環境基準について。住宅地では昼間の基準値55デシベル以下、夜の基準値45デシベル以下。2車線道路や幹線道路に面していると割り増しがある。(出典:環境庁ホームページ)

【表1】騒音の環境基準について。住宅地では昼間の基準値55デシベル以下、夜の基準値45デシベル以下。2車線道路や幹線道路に面していると割り増しがある。(出典:環境庁ホームページ

 
ところでこの「騒音の基準」はなにを元に決められているのでしょうか。環境庁によると「生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準(環境基準)」としています。つまり、この基準値以上のうるささの元では「普通に生活していく上で不都合が生じたり、健康的な生活ができない恐れが生じる」と考えられるということです。

ここで使われている単位「デシベル」は「dB」とも書き、通常は音圧(おんあつ)つまり音の大きさを表します。デシベルの数値が大きいほど大きな音を表しています。

それでは次に日々の生活の中から出ている生活騒音にはどんなものがあり、いったいどのくらいの大きさなのか見てみましょう。

生活の中で発生する音の種類と大きさ

生活騒音の発生源は次のように分類できます。
1)家庭用機器からの騒音…冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、掃除機など
2)家庭用設備、住宅構造面からの騒音…エアコン、バス・トイレの給排水、ドアの開閉音
3)音響機器からの音…テレビ、ステレオ、ラジオなど
4)生活行動に伴う音…話し声、泣き声、笑い声、飛び跳ねる音など
5)その他…車、バイクの空ぶかし音、ペットの鳴き声、風鈴の音など。

例えば風鈴の音など、ええっ!これも騒音になっちゃうの?と思うものも含まれていますね。一般的に「いい音色」とされるものも、あまりに大きい音だと「騒音」になってしまうということです。表2で生活騒音の種類と音の大きさの目安をみてみましょう。

【表2】生活騒音の目安。人の話声もかなり大きな音だということがわかる。(出典:東京都環境局ホームページ)

【表2】生活騒音の目安。人の話声もかなり大きな音だということがわかる。(出典:東京都環境局ホームページ

 
これらは日常的に出ている音ですが、表1の「騒音の基準」に照らし合わせるとどれも意外と大きいことに気が付きます。ピアノの音や子どもの足音は問題になりやすい音ですが、やはり基準値(昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下)と見比べると注意しなくてはいけないことがよくわかります。

音が出る時間帯や場所は一定ではなく、また昼に聞こえるのと夜に聞こえるのでは感じ方も違ってきます。例えば普通の話し声でも、時と場合によっては大きな騒音に聞こえることも十分あり得ます。

それでは次のページでマンションで騒音を軽減する工夫を見ていきましょう。

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