都心でくつろげる条件は?

ベイエリアのマンションラッシュが依然続いている。品川、芝浦、豊洲、晴海……。「湾岸戦争」と名付けられるほどの販売戸数もさることながら、特筆すべきはその購入需要が引きも切らないことではないだろうか。

都心に近く、その割にリーズナブル。それがシングルからファミリーまで幅広い層から支持されている何よりの要因。しかしながら、単に便利で安いというだけでなく、ウォーターフロントならではの環境要素も膨大な供給を吸収する大きな理由のひとつではないかと考える。

水辺に近い暮らしには独特の趣きがある。それが日本橋は隅田川沿いや勝どきでは運河に接したマンションで体験した個人的な感想だ。時間の流れ方が違う、と例える人もいる。アーバンリゾートと言えば少々大げさになってしまうが、ひと味違った寛ぎを得られる瞬間が確かにある。

都会に近いが、ゆったりと時間が流れる生活。そんな贅沢な湾岸暮らしの原点が、高輪(港区)、御殿山(品川区北品川)エリアにあると思い、名作マンションを訪ねた。一見、水辺の印象が薄いこのエリアにこそ、その要素が揃っている。

高輪4丁目に建つ『ペアシティルネッサンス高輪80』。第一京浜を都心に向かうと、真正面にあらわれる。手前の森が三菱グループの迎賓館『開東閣』

御殿が建った理由

『ミュゼダール御殿山』のエントランス。隣接する原美術館と一体化するようにイメージして設計された。デザイン監修は芦原太郎建築事務所
鷹狩に来る将軍の御殿があったことから通称「御殿山」と呼ばれるエリアは、山手線の内側では皇居から最も遠いゾーンになる。桜の名所としても有名だったらしく、別邸を構えるには最適の地だったのではないかと思われる。

台場の埋め立てや鉄道工事のために削り取られ、城南五山のひとつでありながらも小高いという印象はないが、江戸時代には海が一望できたよう。

かたや高輪は、高台のまっすぐな道「高縄手道(たかなわてみち)」からついた地名。いまでも4丁目の丘は南方面への眺望が保たれ、都心における代表的な邸宅地として評価が高い。

そして、このエリアにはハイグレードマンションの原点を見つけることができる!?次ページ