なぜ、リフォームの事例が参考になるのか
新築マンションのモデルルームに実際、人は住んでいない。おおよそこんな人が住むだろうとイメージして造られはするが、机上の域を出るものではない。したがって、その空間は見栄えこそすれ、無機質になりがちである。これは再販を目的としたリフォーム(またはリノベーション)も同様ではないだろうか。斬新さをことさら主張するリノベマンションは、作り手側の個性が少々全面に出すぎてはしないか、と思うことさえある。
本来、住宅の価値は住み手の満足度ではかられるもの。だからこそ、オーナーの個性が生活感となってにじみ出ている家に、良い住宅のお手本が隠されている。なかでも、暮らしやすさを話し合いながらすすめるリフォームは得るものが多いはず。そこで今回、高級マンションオーナーのリフォーム実例を紹介したいと思う。
訪問したのは港区南麻布のマンション(1991年築)。窓いっぱいに広がるこの森は「有栖川記念公園」。素晴らしい眺めだ |
リゾートさながらのこの借景(有栖川公園)は南東方向。地形的には坂上にあたる。絶好のロケーションとはまさにこのことをいうのだろう |
まずは、キッチンまわりからご覧いただこう。