住宅の広告では、間取りのところに “3LDK+N” とか “2SLDK” などと表記されている場合がありますが、これら “S” や “N” などはすべて「納戸」(なんど)のことです。
それでは、この「納戸」とはいったいどのようなものなのでしょうか?
建築基準法では居室の採光基準や最低限の天井高、換気など、さまざまな規定が設けられています。そして、住宅の居室の基準を満たさない部屋を総称して「納戸」と呼んでいるのです。
納戸のもともとの意味合いとしては「衣類などを収納する部屋」といったところですが、実際には他の洋室と同様の内装を施し、昼間でもやや暗いこと以外には他の部屋と何ら変わらない場合も多いでしょう。
建築基準法では、住宅の居室に床面積の7分の1以上の大きさの窓を設けなければならないことになっていますが、大きさは十分でも北側の部屋で窓の前が階段やエレベータースペースになっていたり、隣地建物が近過ぎたりすると十分な採光を得られないことがあります。
マンションで同じ間取り形状の部屋が並んでいるとき、大半が “3LDK” なのに一部の部屋だけが “2SLDK” などとなっている場合があるのはこのためです。
不動産適正取引協議会の定める「不動産の表示に関する公正競争規約」によれば、建築基準法による採光基準などを満たさず「居室」とすることができない部屋については「納戸等」と表示することになっています。
しかし、この規定が「納戸」に限定することなく「納戸等」であるために、さまざまな表記が乱立してしまっているのが現状でしょう。
以前は、納戸(N)もしくはサービスルーム(S)と表記されることが大半でしたが、近年では書斎(DEN)、ユーティリティスペース(U)、フリールーム(F)、マルチルーム(M)、多目的ルームなどと表記される場合も少なくありません。
同居する人数の多い家庭だと、現実にはすべての部屋が “多目的ルーム” になっていることも多いでしょうが……。
ひとくちに納戸といっても実際の大きさや内装の状態はさまざまですから、見学のときなどにはしっかりと確認することが欠かせません。
また、他の居室と同様に使える納戸の場合でも、採光などが十分でなく暗い部屋になりがちなことは忘れてはなりません。とくに子供部屋などとして考える場合には、子供の精神面への影響も含めて十分に配慮することが必要です。
関連記事
不動産売買お役立ち記事 INDEXガイドの不動産売買基礎講座 INDEX
広告パンフレット略記号のABC
不動産広告の基本(間取り・築年数・戸数・方位)