不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

住宅選びの前準備~住宅購入の流れ・手順 3(2ページ目)

住宅を購入すると決めたら、すぐにでも物件を見たくなるでしょう。しかし、やみくもに物件を見て回るのは時間と労力の無駄になりかねません。実際に物件探しを始める前にやっておきたいこと、考えておきたいポイントなどをまとめました。(2017年改訂版、初出:2004年12月)

執筆者:平野 雅之


相場感覚をつかむことも大切

住宅に求めるいろいろな条件を書き出しても、それを満たす物件がなければ意味がありません。少なくとも「絶対に妥協できない条件」を満たす物件が、自分の予算内で買えるのかどうか調べてみることが大切です。

まずは、ネット上の検索サイトや住宅情報誌などで、おおよその相場を確認してみましょう。

予算内で買える物件が、自分の希望する条件とかけ離れているようであれば、条件そのものを見直さなければなりません。さらに、「絶対に妥協できない条件」を満たす物件がそもそも存在しないようであれば、住宅購入自体を考え直さなくてはならない場合もあります。


資料集めや金利動向の把握

一戸建て住宅の外観

住宅の購入や建築に向け早めにやっておくべきことも多い

自分の方向性が固まってきたら、それに合わせた資料収集を始めます。たとえば、土地を購入して家を建てるつもりであれば、ハウスメーカーのパンフレットを集めたり、建築家や設計会社などを調べたり、といった準備も必要です。

また、沿線や街、あるいは行政に関する情報を集めたり、子供の学校、病院などに関する参考資料なども集めておけば、最終的に住宅を選ぶ際に役立つでしょう。

住宅ローン金利の動向には、常に気を配っておくことが大切です。金利の動き次第で購入予算を見直さなければならないケースもあります。

多くの住宅ローンでは、申込みのときではなく、融資が実行される時点での金利が適用されますから、とくに新築未完成物件を買おうとする場合には完成・引き渡し時の金利予測を含め、細心の注意を払うことが欠かせません。


住宅購入のための知識習得

物件探しをする前に、住宅購入に必要な知識の勉強も始めておきたいものです。不動産の専門家を目指すわけではないため、それほど難しく考える必要はありませんが、ちょっとした知識を得ておくことで無用なトラブルを避けられる場合もあるでしょう。

土地を購入して家を建てる計画の人であれば、建築法規なども理解しておきたいところです。土地を紹介する媒介業者の営業担当者(とくに、普段はマンションの取り扱いが多い担当者)などには、残念ながら建築法規などをほとんど理解していない者も含まれています。

明らかにユーザーが希望する条件の建物を建てられないような土地を、平気で何の疑いもなく紹介しているケースもあるようですから、十分に注意しなければなりません。

マンションや建売住宅を購入する場合なら、家を建てるときほどの知識は必要ないでしょうが、それでも用途地域容積率など、建築法規の基本的な部分は知っておきたいものです。

その他、どのような物件を購入する場合であれ、購入・保有時の税金や売買契約に関わる事項など、おおまかなことは知っておくべきでしょう。

これらは一朝一夕で得られるほど単純なものではないため、住宅購入に必要な知識の勉強を早いうちに始めるとともに、これから物件探しをする間も随時チェックしていただきたいのです。

ただし、中途半端な知識による「かたくなな思い込み」もトラブルのもとです。頭を柔軟にして対応することも欠かせません。


あらかじめ用意しておくと便利なモノ

物件探しを始める前に、次のようなモノを用意しておくと役に立ちます。必要に応じて揃えておくとよいでしょう。

【鉄道路線図】
住宅情報誌などについているもので十分ですが、列車の所要時間などが記載されているもののほうが便利です。

【道路地図】
最近は自動車のナビや、ネット上の地図を使う人も多いでしょうが、物件探しをするエリア(都道府県)の道路地図があると、位置関係の把握などがしやすいでしょう。1万分の1の縮尺のものが刊行されていれば、距離感も分かりやすくて便利です。

【デジタルカメラ】
物件をいくつか見て回るとどうしても記憶が混乱してきます。このようなとき、デジカメに記録しておけば頭の整理もできて何かと便利です。スマホでも構いませんが、物件だけでなく周辺の環境など気のついたところを記録しておくのにも役立ちます。

【方位磁石(コンパス)】
晴れた日なら腕時計と太陽の位置で、ある程度の方位も分かりますが、やはりコンパスはあったほうが便利です。決して高価なものは必要ありません。100円ショップで売られていることもあるでしょう。

【ルーペ(拡大鏡)】
物件チラシなどの物件概要は、小さな文字でびっしりと書かれていることもあります。細かな文字を読むのが苦にならない人はともかく、そうでない人は持っていたほうが便利でしょう。薄い板状のルーペ(読書用)なら、安いものも市販されています。

【巻尺(スケール)】
売主が居住中の中古物件ではなかなか測りづらいでしょうが、新築物件や空き物件などを見学に行く際には3~5m程度のコンパクトなスケールがあると便利です。他に使う予定がないのであれば、100円ショップのもので十分でしょう。

【三角スケール・ヘキサスケール】
新築物件の間取り図などをチェックする際には三角スケールがあると便利です。これは三角柱状の棒に1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/600などの目盛りをつけたもの(通称:サンスケ)です。図面の縮尺に合わせた目盛りを使えば、簡単に実寸が分かります。

土地家屋調査士用の三角スケールでは、1/400の代わりに1/250の目盛りが付けられています。プラスチック製のものであればいずれも1,000円以内で購入でき、三角スケールの目盛りを平面上に並べたものがヘキサスケールです。

【ノート】
どのようなものでも構いませんが、物件探しの記録をつける専用ノートを用意しておくとよいでしょう。住宅購入に対する自分の条件を書き出したり、物件見学で気になった点を書き込んだりして整理していきます。

また、万一トラブルに巻き込まれそうになったときなど、不動産業者や売主とのやり取りの内容、その日時などが初めから記録してあると大いに役立ちます。


【住宅購入の流れ・手順】
1 購入の意思決定
2 資金計画を立てる
3 住宅選びの前準備
4 情報収集・物件見学
5 購入物件の決定
6 売買契約・引き渡し


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