自分のライフスタイルや生活環境を見直したうえで住宅購入の意思が固まれば、次に必要なのは資金計画の立案や確認です。これがはっきりとしないうちに物件を探しても、購入の最終決断ができないばかりか、それ以前に購入物件を絞り込むこと自体が難しくなるでしょう。

物件を探しながら、分譲業者・販売代理業者あるいは媒介業者の営業担当者に資金計画を立ててもらうことも考えられますが、どうしても価格が高めの物件へと誘導され、ぎりぎりの資金計画となりがちなことも否定できません。

とはいえ、ユーザー自らが購入諸費用や住宅ローンの細かな計算などをすることにも無理があるでしょう。最終的な資金計画のチェックや支払い試算は不動産業者などに任せることとなりますが、それ以前の段階で自らの条件をきちんと把握しておくことが重要です。

資金計画に関する詳細な説明や計算例などはさておき、今回は資金計画を立てるうえで注意しなければいけないこと、考えておくべきこと、知っておくべきことなど、資金計画のポイントをお届けします。


自己資金はいくらあるのか? いくら出せるのか?

お金の問題

自己資金が足りなければ、ある程度が貯まるまで購入を見合わせることも選択の一つ

まず初めに、自分および配偶者の預貯金がいくらあるのかを確認してみましょう。

住宅購入における自己資金の目安として、物件価格の30%あるいはそれ以上を用意できるのが理想的ともいわれますが、このうち20%程度が売買代金に充当する分、3~8%程度が購入諸費用に充てられる分です。

購入諸費用にはかなりの幅がありますが、新築物件を分譲業者(または販売代理業者)から購入する場合には3~4%、中古物件を購入する場合で媒介業者が介在すれば6~8%程度となります。

それに引越し費用や家具の買い替え費用などを加えれば、10%あるいはそれ以上の諸費用がかかるでしょう。

新築マンションの場合、ほとんどの物件は分譲業者もしくは販売代理業者を通して購入するため媒介手数料は不要です。新築一戸建て住宅の場合には分譲業者などが直接販売するばかりではなく、中古住宅の場合と同様に媒介業者が介在して媒介手数料が必要なこともあります。

それとは逆に、中古物件であっても不動産業者が売主となり、直接その売主との間で売買契約をすれば媒介手数料が不要になる場合もあります。

それ以外に、中古物件では入居前にリフォームが必要な場合もあるでしょう。軽微なリフォームなら数十万円程度で済みますが、大掛かりなものになると数百万円が必要です。

これらの費用も自己資金でまかなえればそれに越したことはありませんが、リフォーム費用に関しては通常の住宅ローンとは別途に「リフォームローン」を活用することも可能です。このような場合には、住宅ローンの支払いと合わせて総合的に判断をすることが欠かせません。

なお、最近では住宅購入費用とリフォーム費用を合わせて低利で借りることのできる一体型ローンを取り扱う金融機関も増えつつありますから、その利用も検討してみましょう。

物件価格の30%もの自己資金が必要だとすると、3,000万円の物件なら900万円、4,000万円の物件なら1,200万円になり「なかなかそんなお金は用意できない」という人も多いでしょう。そのため親などから資金援助をしてもらうケースも多くなっているようです。

住宅取得資金の贈与の特例や相続時精算課税制度もかなり利用されていますが、税制改正で内容が変わることもあるので、贈与を受ける年に適用される制度の内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

贈与や親などからの借金による援助分はいずれも自己資金とみなすことができますが、資金計画の段階で実際にいくら援助してもらえるのかを把握しておくことが重要です。

相手が配偶者の親の場合のみならず、自分の親であっても「いくら貰えるの」とは聞きづらいことでしょう。しかし、「たぶん○○万円は貰えるだろう」という思い込みだけで動き出してしまい、想定しなかった失敗に終わるケースもよく聞く話です。

親からの資金援助

親などからの資金援助があるとき、その額を事前に確認しておきたい。思い込みだけで動くことは禁物

以前、実際に聞いた事例では、親のほうから「資金援助をするから住宅を買いなさい」と言われて真剣に物件を探していたのですが、具体的な金額を確認しないまま「1,500万円は出してもらえる」と思い込んでいたようです。

不動産業者には、「本当の自己資金分」である500万円と合わせて「2,000万円を用意できる」と伝え、それをもとに物件探しをしていました。

ところが、いざ契約の段になり親のところへ行って話をしたところ「出せるのは400万円までだよ」と言われて初めて自分の勘違いに気づき、その後しばらくは立ち直れなかったとか。

売買代金に充当する自己資金を「物件価格の20%以上用意するべき」といわれることも多いのですが、この「20%」という数字について明確な根拠があるわけではありません。

以前の住宅金融公庫による融資限度額が「物件価格の8割まで」(年収条件により異なる)とされていたことや、民間金融機関でも8割程度を目安にしているところが多いから、というのが一応の根拠とされています。

ところが、分譲業者や媒介業者の提携金融機関などを利用すれば「100%ローン」を組むことも可能であり、場合によっては諸費用分までもローンでまかなうことができるでしょう。

しかし、安易に「100%ローン」などを組むことは避けるべきです。

住宅ローンの借入割合が高ければ高いほど毎月の負担額も多くなるのはもちろんのこと、これまで自己資金を貯めることができなかった人にとって、住宅ローンの返済だけでなくさまざまな出費が伴う住宅購入は、想像以上に大きなリスクを抱える結果ともなりかねません。

その意味では、自己資金のすべてが親などからの贈与となるケースでも、物件価格を控えめに考えるなどして十分に注意しなければならないのです。

なお、現在の住宅を売却して買い換える場合や、他の不動産、株、その他の資産を売却して自己資金に充当する場合で、まだ売却(および納税など)が終わっていないときには、いくつかのパターンで試算するとともに、実際の売却額に合わせて変更できるよう、資金計画に柔軟性を持たせることも大切です。


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