住宅購入の費用・税金/確定申告・住宅ローン減税

住宅取得資金等贈与の特例を詳説(2ページ目)

住宅を購入したり、新築や増改築したりするときの資金を贈与された場合に、その贈与税額を軽減する「住宅取得資金等贈与の特例」について、適用要件や申告に必要な書類など詳しく確認しておくことにしましょう。

執筆者:平野 雅之


住宅取得資金等贈与の特例を適用するための要件

「住宅取得資金等贈与の特例」 の適用を受けるためには、次に掲げる要件をすべて満たす必要があります。

原則として、贈与を受けた時点で日本国内に住所があること
贈与を受けた者 (受贈者) が日本国籍を有し、贈与者または受贈者が贈与日前5年以内に国内の住所があった場合には適用を受けられます。
海外出張などにより一時的に日本国内を離れている場合には、日本国内に住所がある者として扱われます。
平成17年12月31日までに、父母または祖父母から贈与を受けること
父母には養父母を含みますが、配偶者の父母からの贈与は対象となりません。
孫が贈与を受ける場合には、父方、母方いずれの祖父母からの贈与でも対象となります。
金銭による住宅取得資金等の贈与であること
土地、建物、株券その他の現物資産による贈与は対象となりません。
住宅取得資金等贈与の特例の適用を過去に受けていないこと
一生に一度しか受けられない特例です。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その資金の “全額” を、住宅用家屋の新築、取得 (家屋とともにする敷地の取得を含む) 、居住用家屋の増改築等に充てること
敷地の取得には借地権の取得も含まれます。
敷地のみの取得は対象となりません。
新築分譲マンション、新築分譲一戸建ての場合には、贈与された年の翌年3月15日までに分譲主から引渡しを受けていることが必要です。
住宅用家屋を新築した場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日時点で工事が完了していなくても、屋根を有し建築物として認められる状態 (棟上げが完了している状態、新築に準ずる状態) にまで工事が進行していれば、特例の適用を受けられます。増改築の場合には、増改築部分について同様に屋根を有し、既存の家屋と一体の建築物として認められる状態 (工事完成に準ずる状態) にまで工事が進行していれば、特例の適用を受けられます。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、または遅滞なく居住することが確実であること
増改築の場合には、増築・改築・大規模の修繕や模様替えで、その工事費用が1千万円以上 (工事費用の2分の1以上が居住用部分に充てられること) 、または増築による床面積の増加が50平方メートル以上 (増加部分の2分の1以上が居住用であること) であり、贈与を受けた者が主として居住の用に供するものであること
取得する住宅等が日本国内にあり、その家屋の登記上の床面積が50平方メートル以上であること
店舗併用住宅などの場合には、床面積の2分の1以上が自己の居住用であること
中古住宅を取得する場合には、取得日時点において、耐火建築物は建築後25年以内、非耐火建築物は建築後20年以内であること
他の税制特例においては、平成17年度税制改正により一定の耐震性能を有する中古住宅の築年数要件が撤廃されましたが、この特例は廃止が前提のために要件は緩和されていません。
贈与日の前5年以内に、自己または配偶者が所有する住宅用家屋に居住したことがないこと
増改築等の場合を除きます。
贈与日の前5年以内に、自己または配偶者が所有する住宅用家屋に居住していても、自己または配偶者が所有する “すべての” 住宅用家屋とその敷地を譲渡 (買換えの場合) 、または家屋を滅失 (建替えの場合) をすれば、特例の適用を受けられます。この場合、贈与を受けた年の12月31日までに譲渡または滅失をすること、または贈与を受けた年の翌年12月31日までに譲渡をする見込みであることが要件です。ただし、譲渡の相手先が配偶者、直系血族、生計を一にする親族など特別関係者の場合には適用されません。
贈与を受けた年の合計所得金額が1,200万円以下であること
給与所得のみの場合には年収が約1,442万円以下となります。
前項の譲渡がある場合、居住用財産にかかる3,000万円控除の適用があれば、控除後の譲渡所得金額により計算しますが、その他の譲渡所得は原則として特別控除前の金額によります。この場合、他の要件などによって実際には3,000万円控除の適用を受けていなくても、3,000万円控除を適用したものと仮定して計算できる場合があります。
前項の譲渡が贈与を受けた年の翌年となった場合、贈与を受けた年分だけでなく、その翌年分の合計所得金額も1,200万円以下であることが要件です。

なお、「住宅取得資金等贈与の特例」 はあくまでも住宅取得や増改築の費用に “直接” 充てられる資金の贈与を対象とした特例ですから、先に住宅ローンを借り、後から贈与された資金をその返済に充てたような場合には特例の対象となりません。 「住宅取得資金等贈与の特例」 の適用を受けるのであれば、売買契約等を締結する前、あるいはどんなに遅くても残代金を支払うとき (住宅ローンを借りるとき) の直前までに贈与を受けなければなりません。



page1 ≪特例の概要と計算方法
page2 ≪特例を適用するための要件≫
page3 ≪特例を適用する場合の申告



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