溢れる歴史と自然・文化
人気沸騰中の九賽溝
楽山大仏 (C)AbeMie
国家級の風景名所区に9ヶ所、歴史文化名所には7ヶ所が指定されているうえに、国家級の森林公園が11ヶ所、文化保護区に到っては40ヵ所もあります。また、多種多様な少数民族の文化や風景には趣があり、四川料理もその美味しさと薬膳効果で世界的にその名が知られています。
観光には、省都である成都を起点として周ることをお奨めします。2300年以上の歴史を持っている成都は、2001年に人口が1000万人を突破し、巴蜀文化と食文化の豊富さで、沢山の観光客を魅了しています(記事「中国旅行のモデルコース」のコース4を参考)。
三国志ゆかりの地
君臣が祀られる「武侯祠」 (C)ふれあい中国
張飛の町「ロウ中」 (C)ふれあい中国
成都市の中心部にある「武侯祠」は、中国最大の三国遺跡博物館で、劉備と諸葛孔明が君臣で祀られる聖なる場所です。正式名は劉備の贈り名からとって「漢昭烈廟」といいますが、もともと別の場所にあった「武侯祠」(「武侯」は諸葛孔明の贈り名)を併合した明代から「武侯祠」の名で親しまれています。中国で諸葛孔明は非常に尊敬され、「三人よれば諸葛孔明の知恵」という諺もあります。「三顧の礼」や「水魚の交わり」など、二人の逸話は感動的で、この地に眠る歴史のロマンを感じさせてくれます(記事「三国志遺跡を巡る旅」も参考に)。
詩聖に影響を与えた地
杜甫草堂博物館。国家一級博物館に認定されている (C)ToshioS
特に安史の乱で長陽の都を追われ、成都に逃げ落ちたころの杜甫は、「国破れて山河在り」「城春にして草木深し」など、悲しみに満ちた詩ばかりを詠んでいます。しかし、晩年には、四川の穏やかな自然に影響され、安らぎを詠った作品が目立つようになります。成都を離れてからは、悲哀と穏やかさを合わせ持つ、人間愛に満ちた詩を残しています。
中国では、旧正月から数えて7日目を「人日(人の誕生日)」として、各地でお祝いの行事が行われます。成都では清代より、「杜甫草堂」に人々が集まり、杜甫の銅像前にお酒を供え祈りを捧げます。人間味溢れる詩聖は四川に育まれ、そして、四川の人々の心に息づいているのです。