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四川省(3ページ目)

四川省は中国の西南部に位置する自然溢れる地域。九賽溝や楽山大仏といった世界遺産も豊富であり、愛くるしいパンダ、美味しい四川料理の本拠地ということで中国屈指の観光スポットとして人気を呼んでいます。ここではそんな四川の基礎知識を様々な角度からご紹介します。

鈴木 晶子

執筆者:鈴木 晶子

中国ガイド

溢れる歴史と自然・文化

人気沸騰中の九賽溝

人気沸騰中の九賽溝

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楽山大仏 (C)AbeMie

四川省には、観光地として国内外の人たちに人気の世界遺産も数多くあります。自然遺産では、1992年登録の九寨溝の渓谷の景観と歴史地区、そして黄龍風景区の2つ。複合遺産では、1997年登録の峨眉山と楽山大仏の2つ。文化遺産では、2000年登録の青城山と都江堰と、合計で6ヶ所。

国家級の風景名所区に9ヶ所、歴史文化名所には7ヶ所が指定されているうえに、国家級の森林公園が11ヶ所、文化保護区に到っては40ヵ所もあります。また、多種多様な少数民族の文化や風景には趣があり、四川料理もその美味しさと薬膳効果で世界的にその名が知られています。

観光には、省都である成都を起点として周ることをお奨めします。2300年以上の歴史を持っている成都は、2001年に人口が1000万人を突破し、巴蜀文化と食文化の豊富さで、沢山の観光客を魅了しています(記事「中国旅行のモデルコース」のコース4を参考)。

 

三国志ゆかりの地

君臣が祀られる「武侯祠」

君臣が祀られる「武侯祠」 (C)ふれあい中国

張飛の町「ロウ中」undefined(C)ふれあい中国

張飛の町「ロウ中」 (C)ふれあい中国

日本でもファン層の広い『三国志』は、中国が魏・呉・蜀に分かれて戦った三国時代の史書で、小説・映画・漫画・ゲームと様々な形で親しまれています。「三国演義」で中心に描かれている蜀の国王・劉備とその軍師・諸葛孔明が特に人気ですが、蜀の国とは現在の四川省と湖北省一帯であり、その都が成都だったのです。つまり、成都は三国志ファンにとって聖地であり、一度は訪れたい憧れの場所なのです。

成都市の中心部にある「武侯祠」は、中国最大の三国遺跡博物館で、劉備と諸葛孔明が君臣で祀られる聖なる場所です。正式名は劉備の贈り名からとって「漢昭烈廟」といいますが、もともと別の場所にあった「武侯祠」(「武侯」は諸葛孔明の贈り名)を併合した明代から「武侯祠」の名で親しまれています。中国で諸葛孔明は非常に尊敬され、「三人よれば諸葛孔明の知恵」という諺もあります。「三顧の礼」や「水魚の交わり」など、二人の逸話は感動的で、この地に眠る歴史のロマンを感じさせてくれます(記事「三国志遺跡を巡る旅」も参考に)。

 

詩聖に影響を与えた地

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杜甫草堂博物館。国家一級博物館に認定されている (C)ToshioS

李白と並んで詩聖と讃えられる盛唐の詩人・杜甫。彼は晩年の4年間を成都で過ごし、約240首の作品を残しています。市内にある「杜甫草堂博物館」には3万余冊の文献があり、杜甫に関する様々な著作が揃っています。杜甫の詩は、社会の現状をリアルに詠んだ詩が多く、明るく幻想的な李白の作品とは大きく異なります。

特に安史の乱で長陽の都を追われ、成都に逃げ落ちたころの杜甫は、「国破れて山河在り」「城春にして草木深し」など、悲しみに満ちた詩ばかりを詠んでいます。しかし、晩年には、四川の穏やかな自然に影響され、安らぎを詠った作品が目立つようになります。成都を離れてからは、悲哀と穏やかさを合わせ持つ、人間愛に満ちた詩を残しています。

中国では、旧正月から数えて7日目を「人日(人の誕生日)」として、各地でお祝いの行事が行われます。成都では清代より、「杜甫草堂」に人々が集まり、杜甫の銅像前にお酒を供え祈りを捧げます。人間味溢れる詩聖は四川に育まれ、そして、四川の人々の心に息づいているのです。
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