12月に扶養親族が増えた! どんな影響が?

「勤務先で年末調整を受けているから、医療費控除住宅ローン控除を受けようとしない限り確定申告なんて意味ないのでは」と思っている人も少なくないようです。
 
結婚や出産のタイミングによっては、税金の額に差が出る!?

結婚や出産のタイミングによっては、税金の額に差が出る!?



しかし、本来なら受けられる控除が的確に反映されないまま、年末調整作業が行われているケースがあります。たとえば、年末調整後に扶養親族が増えた場合や配偶者特別控除が適用できる配偶者と婚姻した場合。このまま放っておくと、所得控除額ベースで原則、38万円(ケースによっては63万円や76万円)もの節税ロスをすることになるのです。
 

年末調整の書類は11月に配られ、12月初旬には回収される

勤務先で年末調整の書類が配られる時期をイメージしてみてください。配布時期についてまで税法に明確に決められているわけではなく、勤務先ごとによるので、若干の違いはあるでしょうが、おおよそ11月初旬~中旬に配布され、遅くとも12月初旬には回収されるはずです。

年末調整で配布される書類は、以下の3種類です。
扶養控除等(異動)申告書
扶養控除等(異動)申告書には、扶養親族の有無や配偶者の有無、その人の続柄や生年月日などを記載しなくはなりません。その記入内容から、扶養控除(障害者控除、寡婦・寡夫控除、勤労学生控除含む)どの所得控除が適用可能かが判断されます。
 

年末時点での状況で、扶養控除や配偶者控除が受けられるか判断される

ここで扶養親族について簡単に説明しておきましょう。扶養親族とは主に次の条件を満たす人のことです。

・年末時点で16歳以上(16歳未満は扶養親族に含まれない。詳しくは後述)
・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
・納税者本人と同一生計
・1年間の合計所得金額が38万円以下

ただ、この条件を満たすかを判断するのは「その年の12月31日時点」というのが所得税法の原則。扶養控除等(異動)申告書や配偶者控除等申告書を勤務先に出した後、扶養親族が適用できる親族が増えたり、配偶者控除もしくは配偶者特別控除が適用できる配偶者と婚姻したとなると、当然、扶養控除や配偶者控除もしくは配偶者特別控除が適用されないまま年末調整されてしまいます。つまり、税金面で損をすることになるのです。
 

配偶者特別控除が適用できる?クリスマスイブや年末に入籍

クリスマスイブに入籍、なんていうのは税制上、不利に取り扱われている具体例のひとつといえるかもしれません。もちろん入籍ですから「挙式した」「ウエディングパーティを開いた」ということが基準ではなく、「役所に届け出た」(つまりは婚姻関係にある)ということになります。

2018年の年末調整から配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けるためには配偶者控除等申告書に記載をして適用を受けるのですが、年末調整の書類回収時にはそのような状況でなかったため「配偶者控除等申告書の勤務先への提出を忘れていた」というようなケースがあるかもしれません。

特に、2018年年末調整は税制改正がなされたあとの新しい配偶者控除や新しい配偶者特別控除が適用できる最初の年末調整です。従来の税法では給与所得者の場合、年収141万円未満までしか配偶者特別控除の適用を受けることはできなかったのですが、2018年の年末調整より年収201万6千円未満であれば、配偶者特別控除の適用ができる可能性が拡がっています。

なお、一方で納税者の所得金額が1000万円を超えると配偶者控除と同様配偶者特別控除も適用がありませんし、納税者の所得の状況が
  • 900万円以下
  • 900万円超 950万円以下
  • 950万円超 1000万円以下
のどこにカテゴライズされるかにより、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用額が細分化されていますので注意してください。
 
2018年 年末調整より実施される配偶者控除・配偶者特別控除のイメージ図 (出典:国税庁 資料より)

2018年 年末調整より実施される配偶者控除・配偶者特別控除のイメージ図 (出典:国税庁 資料より)


上記の表を逆からみるといでいれば、「結婚後に退職すれば相手の扶養に入って配偶者控除が受けられる」というのも誤解であることがわかります。年収が201万6千円以上の人と婚姻をしたケースであれば、配偶者であっても配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用から外れてしまいますので、ご注意ください。

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12月に出産して子どもが生まれたら?故郷の親に仕送りしている??

以前は年少扶養控除といって、16歳未満の親族も条件を満たせば扶養親族とみなされ、扶養控除を受けることができました。

ただし旧子ども手当(児童手当)と引き換えに、平成23年分の所得税および平成24年度の住民税から年少扶養控除は廃止されました。そのため年末の出産で子どもが生まれたとしても、年末調整には良くも悪くも影響はありません。

ただし、妊娠・出産にともなう医療費が多くかかっているなら、医療費控除の確定申告をすれば還付金を受け取れる可能性があります。

なお、必ずしも同居していなくても同一生計とされます。離れて暮らす親に仕送りをしているような場合も、扶養控除を受けられる可能性があります。
 

再婚相手に連れ子がいたら?

最近増えてきた事例の中に再婚や再々婚で連れ子がいるというものがあります。

もちろん、学校等を卒業し、社会人になって働きはじめ、38万円を超える所得があるという場合には、所得要件から外れるのですが、「再婚した妻には前夫との間の子どもがいて、大学に通っている」というケースはどうでしょうか。

扶養控除の条件にある「6親等内の血族及び3親等内の姻族」の「姻族」とは配偶者の血族及び自己の血族の配偶者をいいますので、配偶者の子は、1親等の姻族に該当することとなります。養子縁組の有無までは問われません。

なので、「再婚した妻には前夫との間の子どもがいて、大学に通っていて、学費の仕送りほか養育費を送金している」というケースであれば、バイトのやり過ぎで所得が38万円を超えない限り、特定扶養控除の63万円が適用できます。

ただし、前夫とご自身といずれか一方にしか扶養控除の対象にすることはできないので注意してください。逆からみると、「離婚した妻との間に子どもがいる」といったような場合、学費の負担ほか養育費の負担をしている」といった側が、「子どもを扶養している」つまり、扶養控除が適用できる、ということになるでしょう。
 

状況によっては所得控除ベースで76万円の損!? 還付申告は必須

年末調整後に入籍する、あるいは扶養親族が増えた、という状況では、適用できるはずの扶養控除や配偶者特別控除などが適用されないまま年末調整を受けることになります。扶養控除も配偶者特別控除も1人あたり最高38万円なので、もし適用できる家族が2人増えたとすると、合計で76万円もの所得控除の適用漏れが発生し、特定扶養控除が適用できる年齢であれば、1人あたり63万円もの適用漏れが発生しているのです。

これらの控除を適切に受けて払い過ぎた税金を取り戻すには、確定申告で還付申告をする必要があります。もし年末調整直後の確定申告時期に申告し忘れたとしても、サラリーマンのような給与所得者なら5年間さかのぼって申告できます。

年末調整後に何らかの事情で扶養家族が増えた、婚姻をしたなどという方は、所得控除の適用漏れが発生していないかチェックしてみてはいかがでしょうか。

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