パン/パン屋さん取材レポート(西日本)

ル・シュクレ・クール(大阪・吹田)

パリのブーランジェリー界随一の革命児、エリック・カイザー。彼のパン作りをいち早く取り入れて実践している、「ル・シュクレ・クール」。香り、味わいともに非常に優しいブーランジェリーです。

執筆者:来栖 けい

パリのブーランジェリー界随一の革命児、エリック・カイザー。彼のパン作りをいち早く取り入れて実践しているのが、「ル・シュクレ・クール」の岩永シェフ。

最大の特徴は、カイザー氏が開発した液状天然酵母マシン「ルヴァン・フェルメント」を使用していること。これを使うと、ストレスを与えることなく、安定した液状天然酵母「ルヴァン・リキッド」を作ることができ、そこから生み出されるパンは、香り、味わいともに非常にやさしいものとなるのです。まさにシュクレ・クールの核心ともいえる重要な要素ですね。

ル・シュクレ・クールの基本。バゲット

店の看板商品は「バゲット」(280円)。もちろん、ルヴァン・リキッドを使用しています。このバゲット、通常の感覚で食べ始めると、ちょっとした意外性に直面します。クラストは薄くてやわらかめ。ほんのり茶色がかったクラムは、適度な弾力はあるものの、しゅるしゅる~っと口溶けがよく(きめも細かい)、バゲットとしてみれば非常に穏やかな印象なのです。

味わいにしてもそう。何か1つが突出するわけでもなく、バランスのよさがグッと押し出された仕上がり。やさしい酵母の香りと、角のない適度な酸味が粉の旨みをそっと後押しし、気づかぬうちに私の心に入り込む。つまり、後からじわじわと効いてくるおいしさなのです。シュクレ・クールでは、このバゲット生地をベースとしたパン(商品)が、実に20種類以上もあります。それだけ重要な存在ということですね。ゆえに、まずはこのバゲット自身の味を噛み締めたい。

バゲット生地のヴァリエーションとしては、北イタリア産の生ハムと緑鮮やかな枝豆を練り込んだ「トルサド」(160円)、アンチョビとわかめを練り込んだ磯の香り漂う「パン・オ・ザルグ」(180円)、といったオリジナリティ溢れるものから、2種類のレーズン(レーズン&サルタナ)とくるみを練り込んだ「ノア・レザン」(150円)といった王道のものまで実に幅広い。


2P
5種類のドライフルーツと胡桃を練りこんだ「レ・サンク・ディアマン」
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粒マスタードと2種類のオリーブを練りこんだ「ア・ラ・ディジョネーズ」
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ライ麦70%使用。「パン・オ・セーグル」
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来栖けいイチオシ
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