パン/パン屋さん取材レポート(西日本)

ル・シュクレ・クール(大阪・吹田)(3ページ目)

パリのブーランジェリー界随一の革命児、エリック・カイザー。彼のパン作りをいち早く取り入れて実践している、「ル・シュクレ・クール」。香り、味わいともに非常に優しいブーランジェリーです。

執筆者:来栖 けい

「ア・ラ・ディジョネーズ」

バゲット生地に、粒マスタードと粗く刻んだ2種類のオリーブ(ブラック&グリーン)をトルネード状に練り込んだ「ア・ラ・ディジョネーズ」(180円)もイチオシです。

薄めのクラストは、艶があってもっちりとした弾力性。キュッと詰まったクラムは、適度なモッチリ感はあるものの、意外なほど口溶けがよく、穏やかな酸味と塩気が違和感なく溶け込んでいます。

オリーブ入りのパンということで、食べる前からある程度の味の予想はついていたのですが、ブラックオリーブのダークな酸味とグリーンオリーブの爽快な酸味、そして粒マスタードのスッキリとした酸味と生地に潜む穏やかな酸味。これらがつくり上げる酸味のカルテットには、正直度肝をぬかれましたね。

この酸味によって、生地のおいしさがより鮮明なものとなり、鼻孔へ抜けるオリーブの香りと、後から追いかけてくるその塩気によって、余韻の幅がグッと広げられています。ありそうでない、見事な味の構成だと言えます。
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